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[被爆80年] 原水禁・原水協・被団協 3者連名初の声明 惨禍伝える重要性訴え

 原水禁国民会議と日本原水協、日本被団協の3者は23日、被爆80年の節目に合わせ、核廃絶の行動に全国各地で取り組むよう呼びかける共同アピールを発表した。60年ほど前に分裂した原水禁と原水協の協力は異例で、3者連名の声明は初めて。核兵器が使われかねない国際情勢の中、ヒロシマ、ナガサキの惨禍を伝える重要性を訴えた。

 アピールは、昨年12月に被団協が受賞したノーベル平和賞に触れ、被爆者の訴えが核兵器の使用を阻む力となってきたと強調。一方、足元の国際情勢について「核兵器使用の危険と核抑止の依存が強まり、瀬戸際とも言われる危機的な状況にある」と指摘した。

 その上で「あらゆる立場の違いを超えて、被爆の実相を受け継ぎ、核兵器の非人道性を訴える」と共同発表の意義を伝えた。組織の統一や夏の原水爆禁止世界大会の共同開催には触れていない。

 東京都内での記者会見で、被団協の田中熙巳(てるみ)代表委員(93)は「二つの大きな団体が一緒にやろうと約束した。日本の運動が大きくなり、世界に広がるきっかけになる」と、歓迎した。

 原水禁の谷雅志事務局長は「歴史的な経緯は多々あるが、国内外の情勢を鑑みた時、悠長なことは言っていられない」と強調。原水協の安井正和事務局長は「過去にこだわらず、緊急の一致する課題で行動する」と述べた。(宮野史康)

(2025年7月24日朝刊掲載)

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