原水禁・原水協など3者共同声明発表 被団協がつなぎ具体化
25年7月24日
原水禁国民会議と日本原水協は、ソ連の核実験を巡る運動方針の違いをきっかけにした分裂を乗り越え、共同アピールにこぎ着けた。被爆80年の節目に核兵器を巡る国際情勢の悪化を食い止め、核廃絶へと流れを変えるうねりを起こすためだ。昨年12月の日本被団協のノーベル平和賞受賞を追い風に、被団協をつなぎ役に据えることで、「誰もノーと言えない形づくり」(原水禁関係者)に心を砕いた成果といえる。
複数の関係者によると、原水協が今春、被爆80年に合わせた運動の連携を原水禁に持ちかけた。夏の原水爆禁止世界大会での共同事業も一時、選択肢に上ったものの、時期尚早と判断。代わりに原水禁が連名の声明を提案したという。
両者は60年以上前の対立を今も引きずる。しかし、現在の活動の担い手にとっては過去の出来事に過ぎず、「今の現場には何のわだかまりもない」(原水協関係者)。核兵器廃絶の実現という目標は共通する。分裂の悪いイメージはむしろ、運動の妨げとの声も漏れる。
つないだ被団協はノーベル平和賞の受賞を受け、国民的な運動の展開を目指している。ただ、平均86歳を超える高齢の被爆者の活動には一定の限界があった。浜住治郎事務局長(79)は23日の記者会見で「被爆者にもう後はない。この時期のアピールは大きな意味がある」と感極まった。
アピールの内容は運動の呼びかけにとどまり、具体的な両者の協力の在り方には触れていない。「分裂の総括はまだできていない」という内部の消極論に配慮した形だ。原水爆禁止運動自体にかつてほどの勢いがない中、被爆80年を機運醸成への新たに出発点にできるか、模索は続く。(宮野史康)
(2025年7月24日朝刊掲載)
複数の関係者によると、原水協が今春、被爆80年に合わせた運動の連携を原水禁に持ちかけた。夏の原水爆禁止世界大会での共同事業も一時、選択肢に上ったものの、時期尚早と判断。代わりに原水禁が連名の声明を提案したという。
両者は60年以上前の対立を今も引きずる。しかし、現在の活動の担い手にとっては過去の出来事に過ぎず、「今の現場には何のわだかまりもない」(原水協関係者)。核兵器廃絶の実現という目標は共通する。分裂の悪いイメージはむしろ、運動の妨げとの声も漏れる。
つないだ被団協はノーベル平和賞の受賞を受け、国民的な運動の展開を目指している。ただ、平均86歳を超える高齢の被爆者の活動には一定の限界があった。浜住治郎事務局長(79)は23日の記者会見で「被爆者にもう後はない。この時期のアピールは大きな意味がある」と感極まった。
アピールの内容は運動の呼びかけにとどまり、具体的な両者の協力の在り方には触れていない。「分裂の総括はまだできていない」という内部の消極論に配慮した形だ。原水爆禁止運動自体にかつてほどの勢いがない中、被爆80年を機運醸成への新たに出発点にできるか、模索は続く。(宮野史康)
(2025年7月24日朝刊掲載)