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「核戦争は狂気 繰り返さぬ」 チェコ大統領が原爆ドーム見学

 大阪・関西万博に合わせて来日したチェコのペトル・パベル大統領が23日、広島市中区の平和記念公園を訪れ、世界遺産の原爆ドーム内部を見学した。被爆の惨禍を直視し、「核戦争は狂気。核兵器を使おうとする者は広島の教訓に触れ、二度と繰り返さないと学ぶべきだ」と訴えた。

 パベル大統領はドームの前身、広島県物産陳列館をチェコの建築家ヤン・レツル氏が設計した縁から内部の見学を熱望。爆心地から160メートルで大破した壁や屋根を見つめた。案内した松井一実市長から、かつて存廃に揺れたが、保存に至った経緯などを聞いた。

 原爆慰霊碑に花輪を手向け、原爆資料館も見て回った。芳名録には「核戦争の代償を理解するのに広島より良い場所はない。分かち合うべきはたった一つの地球だということを学ぼう」と記帳。報道各社の取材に「広島の歴史を勉強していたが、実際に見ると心に強く訴える」と語った。

 陳列館は県産業奨励館に名を変えた後に被爆した。国の文化審議会は6月にドームを特別史跡とするよう答申しており、年内に指定される見通し。(樋口浩二)

(2025年7月24日朝刊掲載)

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