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[被爆80年] 母の遺志継ぎ平和の集い 大沢さん 上下の芝居小屋で6日 朗読や歌、ダンスも

 原爆の日の8月6日、府中市上下町の国登録有形文化財の木造芝居小屋「翁座」で平和の集いが初めて催される。昨年まで町内で集いを開き、今年も準備を進めていた野田明子さん(上下町)が6月に84歳で急逝。同居する三女の大沢衣子さん(51)が遺志を継ぎ、開催を決めた。

 午前10時半にスタートし、「原爆の図」の連作で知られる丸木位里・俊夫妻による絵本「ピカドン」をスクリーンに投影して朗読する。町在住のメゾソプラノ歌手の福永真弓さんが原爆をテーマにした歌を披露。町出身のダンサー小谷ちず子さんたちによる平和を願うダンスなどもある。

 野田さんは、町内にある夫の実家の倉庫を平和発信のために改修。広島市から譲り受けた折り鶴約10万羽を飾って「折鶴(おりづる)館」と名付け、2020年から原爆の日に合わせて集いを開いてきた。

 今年は被爆80年の節目にふさわしい追悼の場として、歴史ある翁座を会場に決めて準備を進めていたが、6月15日に亡くなった。大沢さんによると、直前まで元気な様子だったという。

 大沢さんは「母も心残りだったと思う。母をしのぶ意味も込めて、何とか成功させたい」と力を込める。案内チラシを手配するなど残りの準備を引き継いで、集いの開催にこぎ着けた。

 参加人数を把握するため、今月末までに事前予約が必要。参加費千円で高校生以下無料。大沢さん☎090(8560)4492。(佐々木裕介)

(2025年7月25日朝刊掲載)

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