[被爆80年] ドームに祈る姿 写真集に 庄原出身の被爆2世 宮角さん撮影
25年7月25日
古里で記念展示「優しい心を広めたい」
庄原市出身で被爆2世の写真家宮角孝雄さん(77)=東京都=が、四半世紀にわたり原爆ドーム(広島市中区)前で被爆者や訪日客を撮った写真集を、被爆80年に合わせて出版した。「平和へのポートレート」とうたい、記念の展示を庄原市西本町の商業施設ジョイフル2階で28日まで開いている。(桜井邦彦)
ドーム前で写真の撮影を始めたのは1999年末。被爆者たちに「目を閉じて心に平和を描いてください」と語りかけ、一心に願う姿を収めた。写真集に収録したのはモノクロの230点。展示はそのうち、掲載分を中心に縦2・6メートル、横2メートルの作品7点、縦1・4メートル、横1・2メートルの作品13点などを紹介する。
祖父や父、義母たちが被爆者。幼い頃から、原爆に心身を傷つけられた親族の苦しみに触れてきた。「人間の内面を掘り下げ、相手を思いやり尊重する優しい心を広めたい」と願う。妻の智子さん(61)とともに爆心地に近い原爆ドームを年に何度か訪ね、人々の祈りの写真を撮り続けている。
宮角さんのこうした活動に、庄原市是松町の曹洞宗萬福寺の高橋道英住職(61)が共鳴。「核抑止論はおかしい。互いに武器を持たないのが真の平和。宮角さんの写真を通して核廃絶の機運を高めたい」と、庄原での写真展を企画した。
宮角さんの写真集「GROUND ZERO HIROSHIMA LOVE and PEACE」(5280円)はA4変型判、284ページ。庄原での展示公開は午前9時半~午後7時。26~28日は宮角さんが会場を訪れ、作品解説やサインなどに応じるという。
(2025年7月25日朝刊掲載)