「はらわた煮えくり返る」 日米 有事で核使用議論 被爆地広島 怒りの声
25年7月27日
日米両政府が日本防衛を話し合う定例協議の場で、有事の際に米軍が核兵器を使うシナリオを議論していたことが明らかになった26日、被爆地広島から怒りの声が上がった。核兵器廃絶を訴える一方で、使用議論に加わる被爆国政府の姿勢を問題視し、強く反発している。
「被爆者が必死に廃絶を訴える中、核使用を議論していたとは。はらわたが煮えくり返る」。広島県被団協の箕牧(みまき)智之理事長(83)は語気を強めた。代表委員を務める日本被団協がノーベル平和賞を受賞した昨年12月、両政府は核戦力を含む拡大抑止に関するガイドラインを作った。「『核の傘』への依存が強まれば日本への持ち込みにもつながりかねない」と警戒する。
もう一つの県被団協の佐久間邦彦理事長(80)も被爆者の訴えに背を向ける政府を非難。「核兵器がどんな被害をもたらしたのか、米国と日本の政府は分かっているはずなのにあえて考えていない」と断じた。
近年の政権が「核兵器のない世界」を掲げてきた点を突いたのは、市民団体「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」(HANWA)の森滝春子共同代表(86)。「究極の二枚舌だ。表で核のない世界を目指すと言いながら裏で核使用を考えていたのであれば、許しがたい」と憤る。
市民団体「核政策を知りたい広島若者有権者の会」(カクワカ広島)の田中美穂共同代表(30)は参院選で日本の核武装に言及した候補者が当選した現状にも考えを巡らせる。「『核兵器が守ってくれる』という風潮が強まっている。原爆で多くの人の人生が壊されたと市民一人一人が改めて認識し、廃絶へ声を上げていかないといけない」と受け止めた。(下高充生、樋口浩二)
(2025年7月27日朝刊掲載)
「被爆者が必死に廃絶を訴える中、核使用を議論していたとは。はらわたが煮えくり返る」。広島県被団協の箕牧(みまき)智之理事長(83)は語気を強めた。代表委員を務める日本被団協がノーベル平和賞を受賞した昨年12月、両政府は核戦力を含む拡大抑止に関するガイドラインを作った。「『核の傘』への依存が強まれば日本への持ち込みにもつながりかねない」と警戒する。
もう一つの県被団協の佐久間邦彦理事長(80)も被爆者の訴えに背を向ける政府を非難。「核兵器がどんな被害をもたらしたのか、米国と日本の政府は分かっているはずなのにあえて考えていない」と断じた。
近年の政権が「核兵器のない世界」を掲げてきた点を突いたのは、市民団体「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」(HANWA)の森滝春子共同代表(86)。「究極の二枚舌だ。表で核のない世界を目指すと言いながら裏で核使用を考えていたのであれば、許しがたい」と憤る。
市民団体「核政策を知りたい広島若者有権者の会」(カクワカ広島)の田中美穂共同代表(30)は参院選で日本の核武装に言及した候補者が当選した現状にも考えを巡らせる。「『核兵器が守ってくれる』という風潮が強まっている。原爆で多くの人の人生が壊されたと市民一人一人が改めて認識し、廃絶へ声を上げていかないといけない」と受け止めた。(下高充生、樋口浩二)
(2025年7月27日朝刊掲載)