被爆80年 重み増すメッセージ 広島のテレビ各局 8・6関連特番
25年7月26日
惨禍の記憶と平和の願い 次代に
被爆80年の8月6日を迎えるにあたり、広島県内の各テレビ局はさまざまな切り口から特別番組を放送する。被爆者の証言を直接聞くことが難しくなり、核兵器を巡る国際情勢も悪化する中、原爆の惨禍や平和の願いを次世代へどうつなぐか―。ヒロシマを記録し続けてきた放送局が発信するメッセージは一段と重みを増す。(渡辺敬子)
中国放送は4日午前0時58分(3日深夜)から、被爆80年英語ドキュメンタリー「Hiroshima: All the Days that Follow」を放送する。広島の原爆の記憶を世界に伝えるため、これまでに取材した被爆者の証言を英語に翻訳した。3部構成で10人以上の証言に英語でナレーションと字幕を付け、副音声を日本語ナレーションとした。翻訳を担当したレイチェル・ニコルソンさんへのインタビューなど番組制作の過程も併せて紹介する。
NHK広島放送局は6日午後10時から総合でNHKスペシャル「広島グラウンドゼロ~爆心地500m 生存者たちの“原爆”」を全国放送する。広島大に残る110時間もの証言テープを手がかりに、衝撃波や火災旋風が生じたメカニズムを検証した。5日午後9時からはEテレで「あしたは8月6日じゃけぇね~平和の声が届く部屋in広島」を全国放送する。Perfume(パフューム)のあ~ちゃんたちが視聴者から寄せられた声を紹介し、かけがえのない日常に思いを寄せる。
広島ホームテレビは6日午前9時55分から、テレメンタリー2025「レプリカ~被爆遺品の伝言」を放送する。原爆資料館が「8時15分で止まった懐中時計」をはじめとする収蔵品のレプリカ製作に踏み切った経緯などを取材。資料に託された被爆者の思いや伝承の在り方に迫る。6、7日の「ピタニュー」では、広島を訪れた男性グループ「IMP.」の7人による特別企画の総集編を届ける。
広島テレビは4日午前0時55分(3日深夜)から、NNNドキュメント’25「NEVER AGAIN 覚悟 ヒロシマから世界へ…」を全国放送する。8歳で被爆した八幡照子さんは「自分の言葉で被爆体験を伝えよう」と83歳から英語を学び、証言活動を続けている。寄り添う孫の恵さんの思いと共に伝える。
テレビ新広島は6日午前9時50分から、被爆80年報道特別番組「彼女が世界に語る理由」を放送する。独学した英語で精力的な証言活動を続ける被爆者の小倉桂子さんを2021年から密着取材。教育現場をはじめ多くの人々に平和の種をまき続ける姿から、継承のヒントを探る。
(2025年7月26日朝刊掲載)