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[被爆80年] 平和祈る歌声 欧州へ エリザベト音大あす出発 「原爆小景」や民謡合唱

 エリザベト音楽大(広島市中区)は、30日から8月8日まで、学内の合唱団をイタリアとドイツへ派遣する。広島市の被爆80年事業の一環。市の「平和芸術団」として、原爆犠牲者を追悼する合唱曲やミサ曲を歌い、平和の祈りを届ける。(桑島美帆)

 派遣するのは、学生、卒業生や教職員など44人で構成する男女混声の「エリザベト音楽大学合唱団」。イタリアのローマ、ベネチアを巡るほか、広島市と姉妹都市のドイツ・ハノーバー市で6日に開かれる追悼式典に参加する。

 各地の教会などで、グレゴリオ聖歌や被爆作家原民喜の連作詩から生まれた「原爆小景」(林光作曲)、安芸区出身の作曲家細川俊夫が編曲した日本民謡を合唱。自ら被爆しながら負傷者の救護に当たった同大とも関係の深いペドロ・アルペ神父をしのぶ、岡田陽子准教授たちによる新作も披露する。

 出発を前に27日、キャンパス内のセシリアホールで壮行演奏会を開き、美しいハーモニーを響かせた。川野祐二学長は「難曲もあり、学生たちは苦労しながら練習を重ねてきた。欧州の歴史やキリスト教、西洋音楽の関係性を体験を通して学ぶ機会になる」と期待を寄せる。修士課程2年の服部純奈さん(23)は「音楽を通し、言葉では言い表せない平和への願いや祈りを届けたい」と使命感を抱く。

(2025年7月29日朝刊掲載)

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