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ドーム南側 かさ上げ検討 国が原案 慰霊碑移転 求めぬ方向 平和公園周辺の高潮対策

 平和記念公園(広島市中区)周辺の高潮対策工事について、国土交通省は28日、整備内容の原案を有識者による検討委員会に示した。原爆ドーム南側の公園のかさ上げを検討する。太田川河川事務所によると、公園周辺に点在する原爆犠牲者の慰霊碑の移転は求めない方向で検討している。(平田智士)

 原案は公園周辺をA~Eの五つの区間に分け、それぞれの浸水対策を提示。原爆ドームを含むA区間は公園の一部を約40センチかさ上げする。一方、現在の景観を保全するため高潮発生時の一部浸水は許容し、整備範囲を柔軟に考えるという。

 残るB~E区間は歩道や護岸のかさ上げ、公園外の平和大通り南側の川沿いは護岸の新設を検討する。一方、公園周辺の慰霊碑の移転は盛り込まなかった。これまでの検討委では委員からは慰霊碑を浸水から守り「戦前の雁木(がんぎ)は極力保存できるように整備するのが望ましい」との意見が出ていた。

 この日、広島市中区で検討委の会合があり、事務局の太田川河川事務所の担当者が説明した。9、10月にインターネットなどで原案に対する市民の意見を募り、来年1月に整備内容案をまとめる。同事務所は「対策の必要性を広く知ってもらい、多くの意見を寄せてほしい」としている。

(2025年7月29日朝刊掲載)

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