[被爆80年] 平和 被爆ソテツに学ぼう 南区の進徳女子高 敷地内にひっそり ゼミ部員と同窓会が折り鶴
25年7月30日
進徳女子高(広島市南区皆実町)の敷地内に、樹齢100年を超すソテツがある。爆心地から約1・4キロにあった旧校舎で被爆したが、その存在を知る在校生は少ない。同校は原爆で生徒と教職員の計415人が犠牲になっており、平和ゼミナール部と同窓会が被爆80年を機に「悲劇を目撃したソテツさんをもっと広めたい」と動き出した。(桧山菜摘)
高さ約2メートルのソテツは敷地の北東角の駐車場近くにある。校庭からフェンスでさえぎられ、生徒が近くを通ることはほぼない。約10年前に中庭から現在地へ移され、生徒の目につかなくなった。
このままではソテツが忘れられる―。同窓会の山田郁子会長(71)は5月、平和ゼミの生徒にソテツの歴史を伝えた。部長の3年山田真緒さん(18)は「被爆証言の聞き取りなどをしていたが、全く知らなかった」。部員は6月の文化祭で全校生徒に向けてソテツを紹介し、折り鶴をささげようと呼びかけた。
原爆投下時、前身の進徳高等女学校は南竹屋町(現中区)にあり、建物疎開作業に向かうため校庭にいた2年生を中心に犠牲になった。校舎も一部の壁を除いて焼き尽くされた。その中でソテツは生き残った。
戦後、ソテツは学校と共に皆実町(現南区)へ移り、青々とした葉を再び茂らせた。山田会長は「心身ともに傷ついた先輩たちを勇気づけたのでは」と思いをはせる。
平和ゼミの部員と同窓会のメンバーたち約20人は29日、全校生徒から寄せられた折り鶴約1500羽をソテツにささげ、数珠を手に黙とうした。2年大槻華奈さん(17)は「身近な痕跡を通して原爆について考えたい」と話す。今後は説明板の設置やソテツの写真を載せたクリアファイルの作成などを目指す。
(2025年7月30日朝刊掲載)
高さ約2メートルのソテツは敷地の北東角の駐車場近くにある。校庭からフェンスでさえぎられ、生徒が近くを通ることはほぼない。約10年前に中庭から現在地へ移され、生徒の目につかなくなった。
このままではソテツが忘れられる―。同窓会の山田郁子会長(71)は5月、平和ゼミの生徒にソテツの歴史を伝えた。部長の3年山田真緒さん(18)は「被爆証言の聞き取りなどをしていたが、全く知らなかった」。部員は6月の文化祭で全校生徒に向けてソテツを紹介し、折り鶴をささげようと呼びかけた。
原爆投下時、前身の進徳高等女学校は南竹屋町(現中区)にあり、建物疎開作業に向かうため校庭にいた2年生を中心に犠牲になった。校舎も一部の壁を除いて焼き尽くされた。その中でソテツは生き残った。
戦後、ソテツは学校と共に皆実町(現南区)へ移り、青々とした葉を再び茂らせた。山田会長は「心身ともに傷ついた先輩たちを勇気づけたのでは」と思いをはせる。
平和ゼミの部員と同窓会のメンバーたち約20人は29日、全校生徒から寄せられた折り鶴約1500羽をソテツにささげ、数珠を手に黙とうした。2年大槻華奈さん(17)は「身近な痕跡を通して原爆について考えたい」と話す。今後は説明板の設置やソテツの写真を載せたクリアファイルの作成などを目指す。
(2025年7月30日朝刊掲載)