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地域の死没者428人追悼 千田地区原爆慰霊祭に60人

■記者 桑島美帆

 広島市原爆被爆者協議会千田支部の追悼慰霊祭が3日、中区千田町の進徳寺で営まれ、被爆者や遺族ら約60人が地域の犠牲者を悼んだ。

 慰霊祭は2部構成で、無宗教形式の第1部で酒井義法中区長(58)が「千田地区は一瞬のうちに焦土と化した。決意を新たにヒロシマの心を内外にアピールしたい」とあいさつ。仏式の第2部では進徳寺の田中晃敬住職(56)がこの1年間に亡くなった地域の被爆者9人の名前を読み上げた。地域の原爆死没者名簿はこれで428人になった。

 千田支部は南竹屋町や大手町5丁目などを含めた中区南部の11町内会の被爆者でつくる。慰霊祭は1987年、松岡千鶴子さん(86)らが、それまで20年近く途絶えていたのを復活したという。

 松岡さんから今年、支部長を受け継いだ米倉繁二さん(76)は「小さな声で『お母ちゃん』と言って死んでいった子どもの声が忘れられない。今ある平和は多くの犠牲者の上に成り立つ。慰霊祭が長く続くよう、2世や家族への参加呼び掛けを強めていきたい」と話していた。

(2009年8月4日朝刊掲載)

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