『生きて』 核兵器廃絶をめざすヒロシマの会共同代表 森滝春子さん(1939年~) <1> 核絶対否定
25年8月5日
被爆地の真の責務 次代へ
昨年ノーベル平和賞を受賞した日本被団協の結成に参画し、被爆者運動と原水爆禁止運動を主導した森滝市郎さん(1994年に92歳で死去)の次女。市民団体「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会(HANWA)」の共同代表を務める森滝春子さん(86)は被爆80年の節目となる今、「核絶対否定」を説いた父の信念を受け継ぎ、そして次世代へ伝えようと力を注ぐ。
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放射能をまき散らし、非人道的な被害を強いるのは核兵器だけではありません。ウラン採掘に始まり、核を巡るあらゆる段階でヒバクシャが生まれている。この問題から目を背けず、あらゆる核被害者に光を当てる責任を被爆地は負っています。
そのための取り組みとして10月5日、国内外からウラン鉱山での労働、核実験、原発事故などの当事者を広島に招いて「世界核被害者フォーラム」を開きます。正直、先立つものはまだ心もとない。でも数々の心強い支えに励まされています。
≪これまで以上に、仲間の支えという心強さを実感している≫
先月、平和運動を通じて以前から知り合いの俳優、吉永小百合さんが広島市内で資金集めの支援コンサートを開いてくれました。吉永さんはライフワークとして続ける原爆詩の朗読を披露し、広島の子どもたちが平和の歌を合唱しました。HANWAの皆が運営に大奮闘してこその実現です。クラウドファンディングも懸命に広めています。
≪フォーラムは被爆70年だった2015年以来の開催となる≫
当初は無理だと思っていたんです。50歳で乳がんを患って以来、再発と転移を繰り返してきました。春にサクラ、夏はホタル、秋には紅葉を眺めながら毎回「最後かな」と。でも、主治医いわく「奇跡」のしぶとさで生き続けています。もう一度、頑張らなければ。(この連載はヒロシマ平和メディアセンター・金崎由美が担当します)
(2025年8月5日朝刊掲載)