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シュモー会館保存検討 広島南道路建設予定地 市長「功績伝える」

■記者 滝川裕樹

 広島市は3日、米国の平和活動家故フロイド・シュモー氏(1895~2001年)が被爆者のために建設した「シュモー会館」(中区)について、早急に保存方法を決める方針を示した。広島南道路の建設予定地となっているため。秋葉忠利市長が記者会見で説明した。

 江波二本松の国有地にある会館は、1951年に建てられた木造平屋54.5平方メートル。シュモー氏が、市内で被災者のために建てた住宅など約20棟のうち1棟だけが現存し、集会所として地域住民に使われている。「シュモー会館」と書かれた看板が掛かっている。

 秋葉市長は「復興の歴史や特別名誉市民であるシュモーさんの功績を伝える意味がある」と保存の意義を強調。移転先やそこでの活用方法をコスト面も含め「早期に決定したい」と述べた。今後は建物の全面保存か一部保存かが焦点になる。

 江波地区は、2013年度開通予定の広島南道路の建設予定地。用地買収は約7割完了し、会館周辺は空き区画が目立つ。地元の町内会や会館の管理運営委員会は2007年7月、会館を記念館として残す一方、新しい集会所を別に建てるよう要望書を市に提出している。

 市は昨年、集会所を別に建てることを決定したが、会館の保存方法の具体的な方針は示していなかった。

(2009年8月4日朝刊掲載)

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