被爆経験企業 運営に参加 万博の広島県ブース VRで惨禍再現 食の発信も
25年8月6日
大阪・関西万博の会場で5日にオープンした広島県ブースは、80年前の被爆を経験した県ゆかりの企業が運営に参加している。平和への祈りを広げるため、仮想現実(VR)の技術を駆使して当時の惨禍を伝える。街の復興とともに歩んできたふりかけを配るコーナーもあり、来場者は広島の歴史や食文化に触れた。(村上和生)
被爆直後の広島を追体験できるVRの映像は、広島発祥の準大手ゼネコン、フジタ(東京)が開発した。建設現場で使う技術を利用している。映像は旅行会社のたびまちゲート広島(広島市中区)がツアーで使用しており、両社はブースの運営に協力する。
フジタは、原爆の被害を受けた広島赤十字病院(当時)などの復旧に関わった歴史がある。会場を訪れた奥村洋治社長は「被爆の実相を知る語り部が年々少なくなる。広島の企業として、自社の技術で平和の発信に協力したい」と力を込めた。
映像は被爆後の元安川付近の惨状を再現し、多くの来場者が行列を作って体験した。大阪市の主婦片岡美幸さん(41)は「破壊された街や人の姿がリアルで、80年前にこんなことがあったのかと驚いた。広島に行き、もっと被爆の実態を知りたい」と話した。
食文化のコーナーは、街の復興の上に発展を遂げてきた名物を紹介する。田中食品(広島市西区)はお好み焼き味をベースに、来場者が思い思いの素材を選んで仕上げる万博限定のふりかけを無料で配った。兵庫県芦屋市から訪れた飯塚知佳さん(41)は広島菜を選び「経験のない組み合わせ。食べるのが楽しみ」と笑顔を見せた。
田中食品は被爆で工場が全壊し、当時の社長が命を落とした。田中孝幸社長は「悲劇を乗り越えた上に明るい未来を築く。健康な食を世界に伝えていく」と語った。
ブースには県内の飲食店を紹介する映像コーナーもある。県は平和と食をアピールし、観光客の増加につなげる。
(2025年8月6日朝刊掲載)
被爆直後の広島を追体験できるVRの映像は、広島発祥の準大手ゼネコン、フジタ(東京)が開発した。建設現場で使う技術を利用している。映像は旅行会社のたびまちゲート広島(広島市中区)がツアーで使用しており、両社はブースの運営に協力する。
フジタは、原爆の被害を受けた広島赤十字病院(当時)などの復旧に関わった歴史がある。会場を訪れた奥村洋治社長は「被爆の実相を知る語り部が年々少なくなる。広島の企業として、自社の技術で平和の発信に協力したい」と力を込めた。
映像は被爆後の元安川付近の惨状を再現し、多くの来場者が行列を作って体験した。大阪市の主婦片岡美幸さん(41)は「破壊された街や人の姿がリアルで、80年前にこんなことがあったのかと驚いた。広島に行き、もっと被爆の実態を知りたい」と話した。
食文化のコーナーは、街の復興の上に発展を遂げてきた名物を紹介する。田中食品(広島市西区)はお好み焼き味をベースに、来場者が思い思いの素材を選んで仕上げる万博限定のふりかけを無料で配った。兵庫県芦屋市から訪れた飯塚知佳さん(41)は広島菜を選び「経験のない組み合わせ。食べるのが楽しみ」と笑顔を見せた。
田中食品は被爆で工場が全壊し、当時の社長が命を落とした。田中孝幸社長は「悲劇を乗り越えた上に明るい未来を築く。健康な食を世界に伝えていく」と語った。
ブースには県内の飲食店を紹介する映像コーナーもある。県は平和と食をアピールし、観光客の増加につなげる。
(2025年8月6日朝刊掲載)