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核兵器開発「決してない」 イラン大使が主張 平和記念式典参列へ

 イランのセアダット駐日大使が5日、平和記念式典参列のため訪れた広島市内で、報道各社の取材に応じた。国際社会で疑惑を持たれている核兵器開発を「決してない」と否定した。

 セアダット氏は「いかなる形態の大量破壊兵器にも反対だ」と強調。一方、原子力の平和利用の権利はあるとし、イスラエルと米国による核関連施設の攻撃を「権利を認めた核拡散防止条約(NPT)そのものに対する攻撃」と批判した。トランプ米大統領が広島、長崎への原爆投下を引き合いに攻撃を正当化した発言も「非人道的な発言で、日本の被爆者の尊厳に反する」と訴えた。

 また、パレスチナ自治政府は初めて式典に参列。駐日パレスチナ常駐総代表部のシアム大使が市内で取材に応じ、ガザを激しく攻撃するイスラエルや支援する国を念頭に「何度も来ているにもかかわらず広島の教訓を学んでいない」「核兵器を保有する加害者と被害者が共に80年の式典に参加するのは公平ではなく残念だ」などと述べた。

 市は日本政府が国家承認していないとしてパレスチナ自治政府を昨年まで式典に招いてこなかった。今年は開催を案内する「通知」に形式を変え対象を広げた。各国・地域の代表はこの日、中区のホテルで被爆者の八幡照子さん(88)=広島県府中町=の証言を聴いた。(下高充生、小林可奈)

(2025年8月6日朝刊掲載)

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