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[戦後80年] 特攻で戦死 21歳の思い 岩国出身新屋さんの遺品 練武場で展示 日記や賞状「平和考えて」

 太平洋戦争の末期に特攻隊員として21歳で戦死した岩国市出身の新屋勇さんの遺品が、同市岩国の剣道場「岩国練武場」で展示されている。戦後80年の8月に平和について改めて考えようと、かつて新屋さんが通った練武場のOB会が企画した。29日まで。(川村奈菜)

 新屋さんは岩国城下町で生まれ育ち、2歳違いの弟昇さん(故人)と練武場で竹刀を振った。東京陸軍航空学校や飛行学校で操縦を学び、飛行戦隊に配属された。1945年4月11日、台湾・宜蘭(ぎらん)の飛行場から戦闘機で飛び立ち、沖縄西方の海上で米艦艇に体当たりし戦死した。

 訓練内容を記した「飛行手簿」や軍が突撃死した状況を知らせる「感状」、戦後に当時の佐藤栄作首相から受けた勲六等単光旭日章の賞状など約20点を展示。「反省記」と題した日記には、家族への思いや日々の心構えなどを記す。

 遺品約50点は2018年に遺族から練武場のOB会に寄贈され、道場の一室で保管。22年4月から命日や終戦記念日に合わせ、公開している。

 練武場の栗栖嗣夫(あきお)館長(75)が1日、道場に通う小学生たちに「整備兵だった弟の昇さんが出撃前、勇さんの機体を夜通し整備した」などと紹介。遺品を一緒に見学した。岩国小4年の福永丞(たすく)さん(10)は「僕たちの先輩にこんな人がいるなんて。今もある戦争は早く終わってほしい」と願った。

 新屋さんの妹の蔵重良江さん(84)=同市室の木町=は「私たち家族にとって兄は誇り。戦争はあってはならない、と見た人に伝わればいい」と話す。希望者は稽古のある火曜午後5~6時、金曜の午後5~7時に見学できる。担当の坂本由美さん☎070(2807)0391。

(2025年8月6日朝刊掲載)

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