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参列最多 「核」の溝なお 式典に120ヵ国・地域 ヒロシマの心 共鳴も

 広島市中区の平和記念公園で6日にあった平和記念式典には、過去最多となる120カ国・地域と欧州連合(EU)の代表が参列した。広島市は今年、式典の案内を「招待」から「通知」へ変更。日本と正式な外交関係がない台湾や、国家承認していないパレスチナ自治区の代表が初参加した。ウクライナ侵攻を続けるロシアの同盟国で、昨年まで3年連続で招待されていなかったベラルーシは4年ぶりの出席となった。(桑島美帆、小林可奈)

 駐日パレスチナ常駐総代表部のワリード・シアム大使は「広島の人々の苦しみが伝わり、感情が揺さぶられた。復興した街は私たちを勇気付ける」と語った。式典の後は市民集会にも出席。イスラエル軍による爆撃や飢餓が深刻な現状を訴え「イスラエルの核の恐怖にさらされている」と強調。イスラエルのギラッド・コーヘン大使は取材に応じなかった。

 ほかに核兵器を持つ国は、米国のジョージ・グラス大使をはじめ英国、フランスの代表が参列した。英国のジュリア・ロングボトム大使は「欧州の核保有国として安全保障強化に特別な責任を担っている」と述べた。

 欧米の核同盟である北大西洋条約機構(NATO)に加盟するフィンランドのヘンナ・クヌーッティラ公使参事官は「広島を訪れ、歴史を理解することは大切」、ベルギーのアントワン・エブラー大使も「被爆者の訴えや広島の記憶を次世代につないでいく」と話した。

 一方、核兵器禁止条約に加盟している南アフリカのアナリーズ・シュローダー臨時代理大使は「わが国はかつて核兵器を放棄し、確たる姿勢で核軍縮を進めてきた」。トンガのテビタ・スカ・マンギシ大使は「核兵器を保有すれば安全だというのは錯覚。安全のためには廃絶しかない」と言い切った。

(2025年8月7日朝刊掲載)

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