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[戦後80年] 大和眠る海の砂 遺族に 呉の団体発送「お盆の供養に」

 戦艦大和の乗組員の遺族やボランティアたちでつくる戦艦大和会(呉市)は、80年前に鹿児島県沖に沈没した大和の周辺の砂を全国の遺族に届けた。「遺骨代わりに」と希望する遺族もいて、節目の年に計画した。

 砂は2016年の潜水調査の際、探査機に付けた器具が水深350メートルの艦首の菊の紋章の近くで採取。呉市から調査を受託した深田サルベージ建設(大阪市)の現場責任者で、大和会の副会長を務める花戸忠明さん(85)が保管していた。「戦死者の遺骨の収集を目指したが発見できなかった。代わりのものを遺族に届けたい思いがあった」と振り返る。

 大和会のメンバーが、高さ8センチ、直径2センチのガラス瓶に入れ、希望した全国の14人に発送した。兼森均事務局長(72)は「遺族の手元にあってこそ意義がある。遺骨がない中で、少しでもお盆の供養になれば」と願う。

 呉市で建造された大和は1945年4月7日、沖縄への海上特攻の途上で米軍機の攻撃を受け、乗組員約3千人とともに沈んだ。大和会は呉市で毎年、追悼式を開いている。(栾暁雨)

(2025年8月9日朝刊掲載)

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