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[被爆80年] 東京の原爆展 来場3万7000人 「ヒロシマ1945」閉幕

 広島原爆の被害を写真と映像でつぶさに伝える「被爆80年企画展 ヒロシマ1945」が17日、閉幕した。会場となった東京・恵比寿の東京都写真美術館には会期中に約3万7千人が来場。ヒロシマを知ろう、つなごうとする人々の静かな熱意で会場が満たされた、そんな68日間だった。

 最終日、午前10時の開館前に約100人の列ができた。先頭で待っていた都内の大学4年女性(21)は「広島には行ったことがないし、原爆や戦争の悲しい写真などは苦しくて無意識に遠ざけてきた。でも、せっかく東京で企画展が開かれるんだから逃げずに見なくちゃと思って」と語った。

 記録写真162点と映像2点を展示。会場内は終始、りんとした緊張感と静けさに包まれた。鼻をすする音、「ふう」というため息が聞こえる。来場者はじっと写真を見つめ、1発の原子爆弾で奪われた14万人もの命と暮らしに思いをはせた。

 企画展は中国新聞社、朝日新聞社、毎日新聞社、中国放送、共同通信社が主催。広島原爆の資料の保存や活用に努めてきた報道機関が、組織を超えて共に取り組んだ初めての展示会となった。

 都内の自営業友井一公(かずまさ)さん(59)は3時間近くかけて展示を見た。「写真の中の被爆者がどんな人生を歩んだか。撮影者がどんな思いでシャッターを切り、命がけで写真を残したか。丁寧な解説パネルに引き込まれた。報道機関ならではの取材の蓄積を感じた」と振り返った。 (木ノ元陽子)

(2025年8月18日朝刊掲載)

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