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[被爆80年] 核禁条約重視し対話を 長崎の平和首長会議 アピール採択し閉会

 長崎市で開かれていた平和首長会議の総会は10日、核兵器禁止条約などを重視した対話や外交努力を各国政府に求める「ナガサキアピール」を採択し、閉会した。2029年までの行動計画もまとめ、核兵器の非人道性への理解を世界に広めるとともに、軍縮に関する研究や教育への支援を進めると決めた。

 アピールでは、昨年の日本被団協のノーベル平和賞受賞を、核兵器の使用を防ぐために「被爆者の訴えこそが、大きな役割を果たしてきた」と歓迎した。一方で、世界では核使用リスクが高まっていると懸念。来年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議で具体的な成果を上げ、禁止条約にもすべての国が署名、批准するよう呼びかけた。

 行動計画は大きく4本柱からなる。うち「核兵器のない世界」に向けた取り組みの新規事業として、核実験被害者たち「グローバルヒバクシャ」との連帯強化を盛り込んだ。広島大、広島市立大などでつくるヒロシマ平和研究教育機構や、長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA)などとの連携で、軍縮分野の人材育成も掲げた。

 閉会後の記者会見で、首長会議会長を務める広島市の松井一実市長は「国家間の対立が深まる中、市民に最も近い存在の都市が平和を訴え、行動する役割は広範になっている」と強調した。英マンチェスターのカーマイン・グリムショー市長は自国が核を持つ中、廃絶へ「都市として議会を通じた政府への働きかけや人々の認識を高めることはできる」と述べた。

 総会には16カ国138都市の首長たち計233人が出席した。次回は29年に広島市で開催する。(下高充生)

(2025年8月13日朝刊掲載)

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