『記者のつぶやき』 全容把握 当然の取り組み
25年8月10日
													 長崎市で9日あった記者会見に臨んだ私たちを見つめ、自分の言葉で語る石破茂首相の目は意欲に満ちていた。
核兵器の廃絶は、現在と未来だけでなく「過去の国民に対して負わねばならない責任」だと誓った。平和祈念式典でのあいさつでは硫黄島(東京)と沖縄への訪問にも触れ、戦後80年の節目への強い思いもにじんだ。
ただ、原爆被害の解明への関心は思いのほか薄かった。被爆80年という年月の経過を言い訳に「実態の把握は難しい」と切って捨てた。本格的な調査を怠ってきた国の責任を棚上げするかのようだ。
首相は「被爆の実相の正確な理解」を世代と国を超えて促すという。ならば被害の全容を把握するよう取り組むのは当然だ。被爆者が存命の今なら、証言や各種の資料を突き合わせ、80年前の現実に近づく努力はまだできる。(宮野史康)
(2025年8月10日朝刊掲載)
                        
                    
		
                    
                核兵器の廃絶は、現在と未来だけでなく「過去の国民に対して負わねばならない責任」だと誓った。平和祈念式典でのあいさつでは硫黄島(東京)と沖縄への訪問にも触れ、戦後80年の節目への強い思いもにじんだ。
ただ、原爆被害の解明への関心は思いのほか薄かった。被爆80年という年月の経過を言い訳に「実態の把握は難しい」と切って捨てた。本格的な調査を怠ってきた国の責任を棚上げするかのようだ。
首相は「被爆の実相の正確な理解」を世代と国を超えて促すという。ならば被害の全容を把握するよう取り組むのは当然だ。被爆者が存命の今なら、証言や各種の資料を突き合わせ、80年前の現実に近づく努力はまだできる。(宮野史康)
(2025年8月10日朝刊掲載)








