[びんごミュージアムだより] 福山市人権平和資料館 被爆証言 高校生が絵に
25年8月22日
人類史上初めて広島に原爆が投下されて80年。核兵器の恐怖と、その非人道性を知る私たちには、核兵器の廃絶と真の恒久平和の実現を訴え続けていかなければならない使命があります。
昨年12月に発表されたノーベル賞では、日本被団協がノーベル平和賞を受賞しました。このことは、ロシア軍のウクライナに対する軍事侵攻や、ガザ地区でのイスラエルとハマスの戦闘など、核兵器使用の危機が現実に迫ってきている証しとも捉えることができます。唯一の被爆国である日本の核兵器廃絶に対する真価が問われています。
そのような情勢の中で、今回の企画展においては、福山市在住の被爆体験証言者の廣中正樹さんに焦点を当て、「原爆の絵」の複製画を展示します。
「原爆の絵」は、原爆資料館(広島市中区)が、広島市立基町高創造表現コースの協力を得て、2007年度から被爆体験証言者と同校生徒が共同で制作しているものです。
この絵は、被爆者の方が証言活動を行う際、言葉ではなかなか伝わりにくい場面や状況を少しでも理解しやすいように絵画として表現するものであり、完成した「原爆の絵」は原爆資料館に寄贈されています。
廣中さんは5歳の時に爆心地から約3・5キロの広島市己斐町(現西区)で自宅近くの小川で遊んでいるさなかに原爆に遭いました。廣中さんはその日の夕方お父さんと再会しますが、お父さんは背中に刺さった無数のガラス片を満足に取ることもできずに翌日亡くなります。この2日間の出来事を中心に基町高美術部の生徒が10枚の絵に再現しました。
「原爆の絵」を通して核戦争の危機が迫る中で私たち一人一人が、「生命の尊厳」と「平和の大切さ」についてあらためて見つめ直し核兵器廃絶に向けて何ができるか考える機会となればと思っています。(福山市人権平和資料館副館長・寺地靖仁)
<メモ>福山市丸之内1の1の1。企画展「『原爆の絵』複製画展パートⅡ~父子との別れ~」は9月7日まで。入館料100円、高校生以下と65歳以上は無料。月曜休館。☎084(924)6789。
(2025年8月22日朝刊掲載)
昨年12月に発表されたノーベル賞では、日本被団協がノーベル平和賞を受賞しました。このことは、ロシア軍のウクライナに対する軍事侵攻や、ガザ地区でのイスラエルとハマスの戦闘など、核兵器使用の危機が現実に迫ってきている証しとも捉えることができます。唯一の被爆国である日本の核兵器廃絶に対する真価が問われています。
そのような情勢の中で、今回の企画展においては、福山市在住の被爆体験証言者の廣中正樹さんに焦点を当て、「原爆の絵」の複製画を展示します。
「原爆の絵」は、原爆資料館(広島市中区)が、広島市立基町高創造表現コースの協力を得て、2007年度から被爆体験証言者と同校生徒が共同で制作しているものです。
この絵は、被爆者の方が証言活動を行う際、言葉ではなかなか伝わりにくい場面や状況を少しでも理解しやすいように絵画として表現するものであり、完成した「原爆の絵」は原爆資料館に寄贈されています。
廣中さんは5歳の時に爆心地から約3・5キロの広島市己斐町(現西区)で自宅近くの小川で遊んでいるさなかに原爆に遭いました。廣中さんはその日の夕方お父さんと再会しますが、お父さんは背中に刺さった無数のガラス片を満足に取ることもできずに翌日亡くなります。この2日間の出来事を中心に基町高美術部の生徒が10枚の絵に再現しました。
「原爆の絵」を通して核戦争の危機が迫る中で私たち一人一人が、「生命の尊厳」と「平和の大切さ」についてあらためて見つめ直し核兵器廃絶に向けて何ができるか考える機会となればと思っています。(福山市人権平和資料館副館長・寺地靖仁)
<メモ>福山市丸之内1の1の1。企画展「『原爆の絵』複製画展パートⅡ~父子との別れ~」は9月7日まで。入館料100円、高校生以下と65歳以上は無料。月曜休館。☎084(924)6789。
(2025年8月22日朝刊掲載)