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連載・特集

朝凪(あさなぎ) 20年前の「約束」を胸に

 原爆の日の6日、広島市中区国泰寺町で旧山中高等女学校などの合同慰霊祭を取材した。同校は1、2年生が建物疎開中に被爆し、ほぼ全滅した。毎年、後身の広島大付属福山高の生徒が追悼の言葉をささげている。

 実は20年前、同高に通っていた私は、言葉を読む側として参列していた。「今日だけでなくずっと、平和について考え続ける」と結んだように思う。

 終了後、1人のおばあさんに「本当に考え続けてね」と声をかけられた。遺族か、被爆当時の学校関係者だろうか。今年の慰霊祭は、そうした近しい参列者はほぼいなくなっていた。

 記憶の継承が課題となる被爆80年。今年の生徒代表も、被爆者の思いを語り継ぎ、「未来へ平和をつなぐ」と誓った。私も広島の記者として、高校生のときの「約束」を果たしていきたい。(文化担当・城戸良彰)

(2025年8月23日朝刊掲載)

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