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社説・コラム

朝凪(あさなぎ) 映像の力で若者へ継承

 終戦の日、高校生の息子を誘って映画を見に行った。「長崎―閃光(せんこう)の影で―」。日本赤十字社の看護師たちの手記を原案に、長崎に原爆が投下された直後の看護学生の被爆と救護の様子を描いた作品だ。

 前日に夜更かしし「寝るかもしれん」と言っていた息子。両手で顔を覆いながらも指の間から銀幕をまんじりと見ていた。

 映画館を出て一言、「衝撃だった」。広島市内の小中学で9年間、平和学習をした。8月6日の登校日には平和記念式典の中継を見て、絵本の読み聞かせも体験した。ただ、原爆がテーマの映画を見るのは初めてで、想像以上の光景だったようだ。

 以前、原爆関係の映画を見た被爆者から「あんなもんじゃない」と聞いた。そうは言っても、惨禍の記憶の継承へ、映像の力はさらに大きくなると確信した。(社会担当・二井理江)

(2025年8月26日朝刊掲載)

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