『潮流』 パレスチナの子たちへ
25年8月28日
													■編集委員 平井敦子
はがゆい気持ちがあったそうだ。絵本に携わる仕事をしている自分に何かできることはないんだろうか。何もしないままでいいのだろうか、と。展覧会「つながる世界」を呼びかけた絵本作家吉田尚令(ひさのり)さん(53)=大阪市=は切々と語った。
その展覧会が、京都、東京を巡回し、いま広島市中区上八丁堀のギャラリーGで開かれている。田島征三さんや酒井駒子さんら、賛同する絵本作家25人が参加。絵画27点はそれぞれの作家が、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの攻撃によって命の危険にさらされている子どもたちを胸に表現したものだ。
白いハトに乗って空を舞う子。両親に抱かれる双子の赤ちゃん。暗い街で不安なまなざしを向ける子。平和への願いや残酷な現実への悲しみが伝わってくる。
ガザで子どもたちの栄養改善などに取り組む日本国際ボランティアセンター(JVC)の現地スタッフが撮影した写真24点も並ぶ。過酷な環境の中で目を輝かせ、笑顔を見せる幼い子たちのスナップが絵画と響き合う。
この子たちのために何かできることはないんだろうか。はがゆさを共有する来訪者は少なくないようだ。会場のノートには、こんな言葉があった。「展示を見て、みんな同じようにモヤモヤしていると感じられて、勇気をもらいました」
絵画のポストカードの収益を、JVCのパレスチナ緊急支援の活動に充てるという。JVCのガザのボランティアもまた、難民キャンプで育ち、避難するパレスチナの人たち。「自分にできることをしたい」と走り回っていると聞いた。広島の展覧会は9月7日まで。その後も福岡など全国各地で予定している。
(2025年8月28日朝刊掲載)
                        
                    
		
                    
                はがゆい気持ちがあったそうだ。絵本に携わる仕事をしている自分に何かできることはないんだろうか。何もしないままでいいのだろうか、と。展覧会「つながる世界」を呼びかけた絵本作家吉田尚令(ひさのり)さん(53)=大阪市=は切々と語った。
その展覧会が、京都、東京を巡回し、いま広島市中区上八丁堀のギャラリーGで開かれている。田島征三さんや酒井駒子さんら、賛同する絵本作家25人が参加。絵画27点はそれぞれの作家が、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの攻撃によって命の危険にさらされている子どもたちを胸に表現したものだ。
白いハトに乗って空を舞う子。両親に抱かれる双子の赤ちゃん。暗い街で不安なまなざしを向ける子。平和への願いや残酷な現実への悲しみが伝わってくる。
ガザで子どもたちの栄養改善などに取り組む日本国際ボランティアセンター(JVC)の現地スタッフが撮影した写真24点も並ぶ。過酷な環境の中で目を輝かせ、笑顔を見せる幼い子たちのスナップが絵画と響き合う。
この子たちのために何かできることはないんだろうか。はがゆさを共有する来訪者は少なくないようだ。会場のノートには、こんな言葉があった。「展示を見て、みんな同じようにモヤモヤしていると感じられて、勇気をもらいました」
絵画のポストカードの収益を、JVCのパレスチナ緊急支援の活動に充てるという。JVCのガザのボランティアもまた、難民キャンプで育ち、避難するパレスチナの人たち。「自分にできることをしたい」と走り回っていると聞いた。広島の展覧会は9月7日まで。その後も福岡など全国各地で予定している。
(2025年8月28日朝刊掲載)








