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社説・コラム

朝凪(あさなぎ) 被爆電車に背中押され

 物心がついた時から乗り物が好きだ。23歳になった今も電車の模型を集め、休日に自宅で並べて楽しむ。そんな私にこの夏、広島電鉄の被爆電車「156号」の取材が舞い込んだ。

 原爆投下の3日後に営業運行を再開した156号。80年を経て同じ8月9日朝、「当時の再現」を相生橋(広島市中区)から見つめた。横で写真を撮っていた一人は「80年前を思いながらシャッターを切った」。そう聞いた時、焼け野原を走り、市民を勇気づける光景が自然と浮かんだ。そして「復興の象徴」の雄姿に歴史の重みを感じた。

 記者になり4カ月。取材であたふたすることも多いが今回はスムーズにいった。大好きな電車というのはもちろん、現場で感じたものを素直に伝えようと思ったからか。被爆電車にそっと背中を押されたようだった。(社会担当・間庭翔太郎)

(2025年8月29日朝刊掲載)

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