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[被爆80年] 原爆孤児の半生伝える 安芸津中で伝承者が講話

 東広島市安芸津町の安芸津中で、広島市の被爆体験伝承者で広島大病院の研修医の井上つぐみさん(25)=広島市南区=の講話を聞く平和学習があった。全校生徒約120人が参加し、平和に向けた行動につなげようと思いを新たにした。

 井上さんが語ったのは、入市被爆し、原爆孤児となった川本省三さん(2022年に88歳で死去)の半生。原爆で家族5人を失い、姉を翌年に亡くしたときの心境や、結婚差別の経験を説明した。

 30代で命を絶とうと考えた時、亡き母の「諦めるな。やればできる」という言葉を思い出したとの証言も伝えた。井上さんは「戦争を二度と繰り返さないよう語り継ぐことが大切。何か一つでも感じたことを周りの人に伝えて」と呼びかけた。

 被爆80年の節目に、伝承活動への理解を深め、平和の尊さを考えてもらうため同校が企画した。3年の西岡凜さん(14)は「食べ物がなく苦しい時代からどのように復興してきたのか気になった。戦争を経験した家族に詳しく聞きたい」と話した。(長野葵)

(2025年9月1日朝刊掲載)

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