[被爆80年] 核抑止は戦争を防げず 国際政治学者 藤原氏、中区で講演
25年8月31日
核抑止に依存しない安全保障の方策を考える講演会が30日、広島市中区の広島国際会議場であった。国際政治学者で順天堂大特任教授の藤原帰一氏が「核軍縮と核廃絶は平和のための現実的な選択だ」と強調した。
藤原氏は、紛争下では当事国が互いに何をするか分からず、核抑止が成立するための意思伝達などがうまくいかなくなる恐れを指摘。核保有国のロシアによるウクライナ侵攻や、インドとパキスタンの紛争を例に「核抑止は核攻撃を阻止できるかもしれないが、通常の戦争は防げない。戦争が起これば常に核戦争にエスカレートする危険がある」と説いた。
国内外の専門家たちも登壇し、核抑止に依存しない安全保障の研究などを紹介。英王立防衛安全保障研究所(RUSI)ディレクターのルーカシュ・クレッサ氏は、市民は核軍縮の義務を国に訴え続ける必要があるとし、「被爆者の証言を含め、核使用で何が起こるのかを強く示すべきだ」と述べた。
県などでつくる「へいわ創造機構ひろしま」(HOPe)が被爆、終戦80年に合わせて企画。会場とオンラインで119人が聴いた。(下高充生)
(2025年8月31日朝刊掲載)
藤原氏は、紛争下では当事国が互いに何をするか分からず、核抑止が成立するための意思伝達などがうまくいかなくなる恐れを指摘。核保有国のロシアによるウクライナ侵攻や、インドとパキスタンの紛争を例に「核抑止は核攻撃を阻止できるかもしれないが、通常の戦争は防げない。戦争が起これば常に核戦争にエスカレートする危険がある」と説いた。
国内外の専門家たちも登壇し、核抑止に依存しない安全保障の研究などを紹介。英王立防衛安全保障研究所(RUSI)ディレクターのルーカシュ・クレッサ氏は、市民は核軍縮の義務を国に訴え続ける必要があるとし、「被爆者の証言を含め、核使用で何が起こるのかを強く示すべきだ」と述べた。
県などでつくる「へいわ創造機構ひろしま」(HOPe)が被爆、終戦80年に合わせて企画。会場とオンラインで119人が聴いた。(下高充生)
(2025年8月31日朝刊掲載)