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日鉄呉跡 地盤・岸壁調査へ 土地取得準備 6億円計上

 呉市の日本製鉄(日鉄)瀬戸内製鉄所呉地区跡地への複合防衛拠点の整備案を巡り、防衛省は29日発表した2026年度予算の概算要求に、土地の取得に向けた経費6億円を盛り込んだ。日鉄と7月末に結んだ基本合意を踏まえて、跡地に立ち入って地盤や岸壁の状況を調べ、施設を建てる準備を進める。

 測量と調査に5億1千万円、岸壁の基本検討に9千万円を充てる。土地の測量とボーリング調査に加え、現在の岸壁の状況を確認し、海でボーリング調査をする。海底の深さや地盤の強度を踏まえ、しゅんせつの必要性や建設する岸壁の構造の検討に入る。いずれも業者に委託する。

 概算要求には、土地の売買契約を結ぶための測量や不動産鑑定評価の費用は盛り込まなかった。土地の購入費の要求は、27年度以降になるとした。関係者によると、取得の作業は当初の見通しから遅れているもようだ。

 防衛省は、跡地に設ける弾薬庫は必要最小限とし、既に弾薬庫のある大麗女(おおうるめ)島(呉市)に新たな弾薬庫を設けるとしている。概算要求に新設する1棟の調査費を盛り込んだ。予定価格の推測につながるため金額は非公表とする。  また、呉市の海上自衛隊呉基地にある呉警備隊の敷地の一部と、同市の米軍「呉第6突堤」の敷地の交換に関連しては50億円を盛り込んだ。警備隊の敷地への庁舎建設費に充てる。(宮野史康)

複合防衛拠点の整備案
 防衛省は2024年3月、日鉄瀬戸内製鉄所呉地区跡地を早期に一括購入し、複合防衛拠点として整備する意向を表明した。民間企業の誘致▽無人機の製造・整備施設▽弾薬庫▽大型の艦船が接岸できる岸壁―など計12のエリアに分けて活用する案を示している。ことし7月末には日鉄と土地の売買契約の締結に向けた基本合意を結んだ。

(2025年8月30日朝刊掲載)

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