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上関の中間貯蔵 中電「立地可能」 稼働時期など計画 本格化へ 関電連携「現段階で未定」

 山口県上関町で建設を検討する使用済み核燃料の中間貯蔵施設について、計画地を「適地」と判断した中国電力。島根原発2号機(松江市)の長期運転や3号機の新規稼働に不可欠な施設と位置付ける。今後、施設の概要や稼働開始の時期を盛り込んだ事業計画作りを本格化させる。29日に上関町で開いた記者会見で、共同開発を検討する関西電力との連携については「現段階では未定」とした。(小川満久)

 「慎重に調査分析を行った結果、中間貯蔵施設の立地の支障となり、技術的に対応できない問題はないとの評価に至った」。会見の冒頭、中電の大瀬戸聡常務執行役員はこう語った。計画地で実施したボーリング調査では活断層などは確認されず、固い岩盤の存在を確認したという。調査地点周辺には活断層があるが、耐震設計などで対応できるとみている。

 中電が中間貯蔵施設の整備を目指す背景には、島根原発の稼働状況や整備計画がある。昨年12月に再稼働した島根2号機は使用済み核燃料を保管する敷地内の燃料プールの約7割が埋まり、今後10年程度で満杯になる見通し。さらに2030年度までに3号機を新たに稼働させる計画もある。

 森野克也執行役員は「島根原発の中長期的な安定運転に必要な施設だ」と説明。上関町の地域振興策であるとともに、中電にとっても重要な事業であるとの認識を改めて示した。

 中電はこの日、調査結果を山口県と上関町周辺の1市3町にも伝えた。大瀬戸常務執行役員は「自治体側の要望も踏まえ、調査結果を分かりやすく地域の皆さまへお知らせできる説明の仕方を考えていきたい」と語った。

 中電は今回、立地の可能性調査の結果として「適地」と示しただけで、具体的な事業計画作りはこれからだ。使用済み核燃料の貯蔵容量や搬入方法なども焦点になる。森野執行役員は「施設の概要について現時点で決まったものはない。事業計画の策定時期や上関町に示す時期も未定だ」と述べるにとどめた。

 中電は23年8月、関電との共同開発を検討する方針を示した。事業計画を作る上での関電との連携の有無について、森野執行役員は「自社で事業計画の策定を進める。関電のコミットは現時点で未定」とした。事業性や地域への利点などを踏まえ今後、総合的に判断する考えを明らかにした。

 関電は29日、福井県内の原発にたまる使用済み核燃料について、35年末までに県外の中間貯蔵施設へ搬送を始める方針を県に伝えた。搬出先が上関町の中間貯蔵施設になるのではないかとの記者の質問に対し、大瀬戸常務執行役員は「関電の動きを承知していない」と述べた。

(2025年8月30日朝刊掲載)

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