原爆資料館 子どもへの影響は 広島大など 展示品へのストレス反応調査 新設スペースの参考に
25年9月5日
原爆資料館(広島市中区)に展示されている遺品や写真が子どもの心理にどんな影響を与えるのか、同館や広島大が調べている。2028年度を目標に館内に新設する、子ども向け展示スペースの参考にするのが狙い。展示を見た直後と1カ月後の計2回、恐怖心や共感から生まれるストレス反応の変化を見る。(加納亜弥)
調査は市内の小学生10人、中学生9人、高校生10人が対象。資料館の見学後、遺品や写真、原爆の絵などの資料17点について、怖いと感じた▽後から思い出しそうだ▽かわいそう―といった受け止めを4段階で問い、理由などを聞き取る。1カ月後に同じ内容を尋ね、反応がどれだけ持続しているかを確かめる。
広島大大学院の上手由香准教授(臨床心理学)が、広島修道大や比治山大の専門家と結果を分析する。上手准教授は「刺激が強くて展示を見られない子もいれば、深く知りたい子もいる。年齢による違いや子どもの個性との関係を実証できれば、どんな展示がふさわしいか判断する材料になる」と話す。
資料館は入館者の増加が著しく、修学旅行生が十分に見学できていない課題がある。市は東館地下1階に子ども向けのスペースを設ける方針で、本年度から有識者会議で展示内容を議論している。委員には「子どもにも凄惨(せいさん)な場面を伝える必要がある」との声がある一方、子どもの心理的負担を検討する必要があるとの意見も出ている。
調査結果は次回以降の会議で報告される。資料館の豆谷利宏副館長は「原爆や戦争を怖いと思うのは当然のことだが、それを理由に避けて通ってほしくない。子どもに被害の実態をどう伝えるかを議論する参考にしたい」と話している。
原爆資料館が新設する子ども向け展示スペース
東館地下1階の「会議室1」「会議室2」「特別展示室」の3室、計500平方メートルを活用。教育学や心理学などの専門家や被爆者たち11人でつくる検討会議が2026年度末までに計6回の会合を重ね、展示内容を議論する。27年度に改修工事を始め、28年度の見学開始を目指す。
(2025年9月5日朝刊掲載)
調査は市内の小学生10人、中学生9人、高校生10人が対象。資料館の見学後、遺品や写真、原爆の絵などの資料17点について、怖いと感じた▽後から思い出しそうだ▽かわいそう―といった受け止めを4段階で問い、理由などを聞き取る。1カ月後に同じ内容を尋ね、反応がどれだけ持続しているかを確かめる。
広島大大学院の上手由香准教授(臨床心理学)が、広島修道大や比治山大の専門家と結果を分析する。上手准教授は「刺激が強くて展示を見られない子もいれば、深く知りたい子もいる。年齢による違いや子どもの個性との関係を実証できれば、どんな展示がふさわしいか判断する材料になる」と話す。
資料館は入館者の増加が著しく、修学旅行生が十分に見学できていない課題がある。市は東館地下1階に子ども向けのスペースを設ける方針で、本年度から有識者会議で展示内容を議論している。委員には「子どもにも凄惨(せいさん)な場面を伝える必要がある」との声がある一方、子どもの心理的負担を検討する必要があるとの意見も出ている。
調査結果は次回以降の会議で報告される。資料館の豆谷利宏副館長は「原爆や戦争を怖いと思うのは当然のことだが、それを理由に避けて通ってほしくない。子どもに被害の実態をどう伝えるかを議論する参考にしたい」と話している。
原爆資料館が新設する子ども向け展示スペース
東館地下1階の「会議室1」「会議室2」「特別展示室」の3室、計500平方メートルを活用。教育学や心理学などの専門家や被爆者たち11人でつくる検討会議が2026年度末までに計6回の会合を重ね、展示内容を議論する。27年度に改修工事を始め、28年度の見学開始を目指す。
(2025年9月5日朝刊掲載)