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[被爆80年] 丸木原爆の図に「駆け込み」観覧 埼玉の美術館 長期休館へ

 広島市出身の丸木位里と俊夫妻の画業を通じて非核と反戦を訴えてきた「原爆の図丸木美術館」(埼玉県東松山市)が29日から、改修工事のため1年半を超える長期休館に入る。被爆・戦後80年の節目に加え、休館前の「駆け込み」で訪れる人が相次いでいる。

 夫妻がライフワークとした連作「原爆の図」を飾るため1967年に開館。15部のうち14部を展示してきたが、近年は施設の老朽化で作品への影響が懸念されていた。

 改修には2017年から募ってきた寄付金3億5千万円を活用する。空調や断熱・気密性を向上させ、開館60年となる27年5月のリニューアルオープンを目指すという。

 近年の来館者は年に1万人程度だが、本年度は約2倍のペースで推移し、被爆80年となった8月に1万人を突破した。休館が迫る今月も、地元の学生や県外客らでにぎわいを見せている。

 同館の岡村幸宣専務理事は「原爆や丸木夫妻を知らない世代にも、絵の価値や意味を伝えていけるようなリニューアルにしたい」と話す。休館中は国内外に絵を貸し出す。改修費の高騰や絵の修復代も見据え、今後もホームページなどを通じて寄付への協力を呼びかける。(加納優)

(2025年9月7日朝刊掲載)

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