[被爆80年] ジェンダー視点で被害考察 遊郭の女性例に講演 広島市立大の四條准教授
25年9月7日
原爆や戦争をジェンダー視点で考える市民講座が6日、広島市中区であった。広島市立大広島平和研究所(安佐南区)の四條知恵准教授が講演し、被爆実態がほとんど語られてこなかった遊郭の女性を例に、被害を多面的に捉える必要性を訴えた。
四條准教授は、市内の遊郭で働いていた女性の原爆被害や生活実態について、「広島原爆戦災誌」などでは女学生と比べて記述が極めて少ないと指摘。1956年の売春防止法の制定を踏まえ、「差別意識が強まって当事者が体験を積極的に語らなくなり、公文書での記述の欠落につながった可能性がある」と見立てた。
その上で、「女性」とひとくくりにすると被害の実態が見えにくくなるとし、「その視点を現代社会の考察にも取り入れていきたい」と説いた。
会場とオンラインで計約50人が聴講した。東区の大学3年岡島由奈さん(20)は「遊郭の女性と同様に、他にも被害を語ってこなかった人がいると思う。資料が乏しくても関心を持つことが大切だと感じた」と話した。
関東の若者たちを中心に活動する団体「GeNuine(ジェヌイン)」が、8~12月に長崎や沖縄など各地で催す連続講座の一環で開いた。(伊藤友一)
(2025年9月7日朝刊掲載)
四條准教授は、市内の遊郭で働いていた女性の原爆被害や生活実態について、「広島原爆戦災誌」などでは女学生と比べて記述が極めて少ないと指摘。1956年の売春防止法の制定を踏まえ、「差別意識が強まって当事者が体験を積極的に語らなくなり、公文書での記述の欠落につながった可能性がある」と見立てた。
その上で、「女性」とひとくくりにすると被害の実態が見えにくくなるとし、「その視点を現代社会の考察にも取り入れていきたい」と説いた。
会場とオンラインで計約50人が聴講した。東区の大学3年岡島由奈さん(20)は「遊郭の女性と同様に、他にも被害を語ってこなかった人がいると思う。資料が乏しくても関心を持つことが大切だと感じた」と話した。
関東の若者たちを中心に活動する団体「GeNuine(ジェヌイン)」が、8~12月に長崎や沖縄など各地で催す連続講座の一環で開いた。(伊藤友一)
(2025年9月7日朝刊掲載)