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[被爆80年] 「核抑止依存」どう低減 広島でシンポ 各国の専門家ら議論

 核兵器の廃絶に向けて国内外の専門家が議論する公開シンポジウムが13日、広島市中区の広島大東千田キャンパスであった。「世界は核抑止への依存をどのように低減できるか」をテーマに、米国や英国などの6人が登壇。被爆地広島の役割を含め、意見を交わした。

 核問題に詳しいスタンフォード大のデビッド・ホロウェイ名誉教授は「核は安全をもたらすものではなく、危険だと捉える大衆レベルでのパラダイムシフト(見方の変換)が必要」と指摘。「ヒロシマは世界に核の危険性を教えてくれる存在だ」と強調した。

 マサチューセッツ工科大のマリアナ・ブジェリン研究員は、母国のウクライナを侵攻したロシアを非難した。ウクライナが旧ソ連時代の核兵器を放棄する代わりに米英ロが安全保障を約束した「ブダペスト覚書」に反したと主張。核使用をちらつかせた戦闘が続く現状を憂慮し「核の脅しは(戦争終結に)効果がない」と述べた。

 6人は各国の大学院生と、若者が核問題への関心を高める方法についても話し合った。平和記念公園(中区)にある「原爆の子の像」のモデルとなった佐々木禎子さんの絵本の翻訳を各国の学校に配ったり、被爆者の体験を交流サイト(SNS)で紹介したりする意見が出た。

 シンポは広島県が主導する官民組織「へいわ創造機構ひろしま」(HOPe)や広島大などが主催。13カ国の若手研究者が広島で核廃絶を学ぶ合宿の一環で、92人が参加した。  (山本祐司)

(2025年9月14日朝刊掲載)

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