原爆ドーム「特別史跡」指定 65件目 明治以降で初
25年9月19日
世界遺産の原爆ドーム(広島市中区)が18日、国の特別史跡に指定された。国の文化審議会が6月に「被爆遺構の象徴的存在」として文部科学相に指定を答申しており、この日の官報で告示された。これまでの国史跡から格上げされた形で、原爆投下の惨禍を後世に伝える「物言わぬ証人」の保存に弾みがつく。(樋口浩二)
特別史跡は全国65件目で、明治期以降の遺跡の指定は初めて。広島県内では宮島(廿日市市)、江戸期の儒学者菅茶山が開いた教育施設廉塾(れんじゅく)と菅茶山旧宅(福山市)に次ぎ、3件目となる。
特別史跡は保存工事の際、最大半額の国の補助を受けられる。毀損(きそん)した場合に文化庁長官の権限で復旧措置が取れるなど、史跡より強い保護が図られる。
原爆ドームを管理する市はこれまでに5回、れんが壁の補強や耐震強化、塗装などの保存工事をしてきた。市は今後、特別史跡と明記した石柱をドームそばに新設する。市文化財担当は「価値を国内外に広く発信していく」としている。
原爆ドームは1915年に県物産陳列館として建てられた。れんがと鉄筋造りの3階建てで、正面中央階段室が5階建ての構造。県産業奨励館に改称後の45年8月6日、米軍が投下した原爆で大破。建物内にいた人は即死し、約30人ともされる犠牲者の正確な数は分かっていない。
特別史跡
貝塚や古墳、城跡、旧宅といった史跡のうち「学術上の価値が特に高く、わが国文化の象徴たるもの」として、文化財保護法に基づき指定される。建造物や工芸品といった有形文化財の国宝に相当する。全国では三内丸山遺跡(青森市)や高松塚古墳(奈良県明日香村)、吉野ケ里遺跡(佐賀県吉野ケ里町、神埼市)などがある。
(2025年9月19日朝刊掲載)
特別史跡は全国65件目で、明治期以降の遺跡の指定は初めて。広島県内では宮島(廿日市市)、江戸期の儒学者菅茶山が開いた教育施設廉塾(れんじゅく)と菅茶山旧宅(福山市)に次ぎ、3件目となる。
特別史跡は保存工事の際、最大半額の国の補助を受けられる。毀損(きそん)した場合に文化庁長官の権限で復旧措置が取れるなど、史跡より強い保護が図られる。
原爆ドームを管理する市はこれまでに5回、れんが壁の補強や耐震強化、塗装などの保存工事をしてきた。市は今後、特別史跡と明記した石柱をドームそばに新設する。市文化財担当は「価値を国内外に広く発信していく」としている。
原爆ドームは1915年に県物産陳列館として建てられた。れんがと鉄筋造りの3階建てで、正面中央階段室が5階建ての構造。県産業奨励館に改称後の45年8月6日、米軍が投下した原爆で大破。建物内にいた人は即死し、約30人ともされる犠牲者の正確な数は分かっていない。
特別史跡
貝塚や古墳、城跡、旧宅といった史跡のうち「学術上の価値が特に高く、わが国文化の象徴たるもの」として、文化財保護法に基づき指定される。建造物や工芸品といった有形文化財の国宝に相当する。全国では三内丸山遺跡(青森市)や高松塚古墳(奈良県明日香村)、吉野ケ里遺跡(佐賀県吉野ケ里町、神埼市)などがある。
(2025年9月19日朝刊掲載)