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広島平和記念式典「招待」を「通知」に見直し 外務省、市に何らか指摘か 相談受け「外交上考慮で気づき」

 広島市が8月の平和記念式典に各国政府の代表を「招待」する形から、開催を広く「通知」する方法に変えた経緯の一端が19日、中国新聞の情報公開請求で明らかになった。市は昨秋、外務省へ見直しの方針を相談。同省は「外交上の考慮からの気づき」とし、何らかの指摘をした形跡がある。最終的に「市が判断されること」と回答。その後、市は方針を公表した。

 市がこの日開示した文書は、外務省や各国・地域とのやりとりの記録を含む14枚。これによると市は昨年11月、見直し方針を外務省にメールし、「想定される懸念事項をご教示いただきたい」と投げかけていた。これに対し、外務省は1月上旬に「とりあえずの気づき」を返信。ただ、その内容は黒塗りにしてある。市が「事務の遂行に支障を及ぼす恐れがある」として開示しなかった。

 市は1月下旬に再度、外務省へ方針を伝達。外務省は3月に「誰を招待するかは市が判断されること」と返信していた。

 市は2022~24年、ウクライナ侵攻を続けるロシアや同盟国ベラルーシの招待を見送る一方、24年にパレスチナ自治区ガザで戦闘を続けるイスラエルを招待。「二重基準」と批判され、対応を検討した経緯がある。

 また開示文書からは、市が台湾にも式典の通知を出すと明らかにした5月、在大阪中国総領事館からメールを受け取っていたことも判明した。内容は非公開。中国側は式典後、台湾が出席したことに反対を表明した。(下高充生)

(2025年9月20日朝刊掲載)

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