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広島の建造物や被爆電車 歴史的遺構をデジタル保存 帝京平成大の内藤准教授 CG再現へ細部まで注目

 県内に残る被爆遺構をはじめとした歴史的建造物や被爆電車のデジタル化に、帝京平成大(東京)の内藤旭惠(あきえ)准教授(情報保存学)が取り組んでいる。注目するのは、材質や色などの「ディテール情報」。CGで再現する際に想像で補われるケースが多く「現存するうちに記録しておく必要がある」と語る。

 8月に、広島市中区の広島電鉄の車庫で被爆電車を調査した。爆心地から約700メートルの今の中電前付近で爆風を受け、脱線した651号。戦後の改修部分について担当者の説明を聞きながら、高性能のカメラで内外をくまなく撮影した。触って確かめ、モーター音も動画に収めた。

 内藤准教授は、一度解体後2009年に復元された三菱一号館(東京)などを昔の図面や写真を基にCG化してきた。しかし窓枠の形や彫刻、床の質感について判断がつかなかったり資料から漏れていたりしたという。実際の「復元」でも想像が多数含まれていると指摘する。

 被爆遺構の保存が課題となる広島での研究を知人に勧められ、23年から原爆ドームやレストハウス(いずれも中区)を巡る。「ディテール情報を正確に残すことで、遺構の持つ力も継承できる」と力を込める。CGは今後の公開を検討している。(新谷枝里子)

(2025年9月24日朝刊掲載)

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