[被爆80年] あの日語り継ぐ タブノキの下で 平和コンサート 27日安佐北 荼毘の「目撃者」 切り株から芽
25年9月23日
広島市安佐北区の狩小川(かこがわ)小近くの三篠川河川敷に、大きな1本のタブノキがたたずむ。80年前、同小に運び込まれて亡くなった被爆者が火葬された河原で、一度は伐採されながら切り株から芽を出し、巨木に成長した。住民たちが「あの日」を語り継ぐシンボルツリーと仰ぐ木の下で27日、平和コンサートがある。(金刺大五)
親水公園「かこがわ水辺の楽校(がっこう)」にあるタブノキは高さ約10メートル、幹回り約5メートル。芝生に囲まれ、幅約14メートルにわたって青々と葉を茂らせている。1980年ごろの河川改修に伴い切り倒されたが、切り株から数十年かけて樹勢を取り戻したという。
「荼毘(だび)を目の当たりにした木。『戦争はいけない』と語っている」。80年前、同小の前身の国民学校の6年生だった平野正治さん(91)=同区小河原町=は確信する。
原爆投下直後、救護所となった同校では、爆心地周辺から鉄道や徒歩、トラックで逃れてきた700人以上を収容したとされる。「校内は、けがをして髪も灰で真っ白になった被災者であふれた」と平野さん。治療のかいなく息を引き取った亡きがらを戸板にのせて河原に運ぶ作業を手伝ったと振り返る。
タブノキは、そばの神社を囲むようにあった木々の1本。2007年に国が親水公園を整備した際にも撤去する計画が持ち上がったが、学区の自治会連合会の会長だった平野さんたちが保存に尽くし、2度目の伐採を免れた。
被爆80年の節目に合わせたコンサートは、住民たちでつくる実行委員会が企画。会場のタブノキをイメージした歌の合唱や被爆ピアノとビオラの共演、平野さんの証言を予定する。委員長を務める同小PTA会長の真多祐輔さん(39)は「平和だからこそできるイベントをたくさんの人に楽しんでもらいたい」と呼びかける。午前10時~午後3時。入場無料。高陽公民館☎082(842)1125=23、24日は休館。
(2025年9月23日朝刊掲載)
親水公園「かこがわ水辺の楽校(がっこう)」にあるタブノキは高さ約10メートル、幹回り約5メートル。芝生に囲まれ、幅約14メートルにわたって青々と葉を茂らせている。1980年ごろの河川改修に伴い切り倒されたが、切り株から数十年かけて樹勢を取り戻したという。
「荼毘(だび)を目の当たりにした木。『戦争はいけない』と語っている」。80年前、同小の前身の国民学校の6年生だった平野正治さん(91)=同区小河原町=は確信する。
原爆投下直後、救護所となった同校では、爆心地周辺から鉄道や徒歩、トラックで逃れてきた700人以上を収容したとされる。「校内は、けがをして髪も灰で真っ白になった被災者であふれた」と平野さん。治療のかいなく息を引き取った亡きがらを戸板にのせて河原に運ぶ作業を手伝ったと振り返る。
タブノキは、そばの神社を囲むようにあった木々の1本。2007年に国が親水公園を整備した際にも撤去する計画が持ち上がったが、学区の自治会連合会の会長だった平野さんたちが保存に尽くし、2度目の伐採を免れた。
被爆80年の節目に合わせたコンサートは、住民たちでつくる実行委員会が企画。会場のタブノキをイメージした歌の合唱や被爆ピアノとビオラの共演、平野さんの証言を予定する。委員長を務める同小PTA会長の真多祐輔さん(39)は「平和だからこそできるイベントをたくさんの人に楽しんでもらいたい」と呼びかける。午前10時~午後3時。入場無料。高陽公民館☎082(842)1125=23、24日は休館。
(2025年9月23日朝刊掲載)