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FCLP終了 苦情1064件 岩国 防衛相「重く受け止め」

 防衛省は26日、在日米海軍が岩国市の米軍岩国基地で実施していた空母艦載機による陸上空母離着陸訓練(FCLP)が予定より1日早い25日に終了したと明らかにした。17日に始まり、同省の事前通告になかった祝日の23日を含め計7日間あった。通告時間外の訓練も連日、市や山口県の担当者が目視で確認した。

 訓練では、空母艦載機が上空を旋回し、着地と同時に出力を上げて上昇する「タッチ・アンド・ゴー」を日中と夜間に繰り返した。岩国市は期間中、人が「うるさい」と感じる70デシベル以上の騒音を5秒以上記録した回数を集計。基地北側(川口町)の計測地点で計1431回、南側(尾津町)で計1541回に上った。

 7日間で市に寄せられた騒音による苦情は1064件だった。市はタッチ・アンド・ゴーを含むFCLP関連の飛行を882回確認した。

 福田良彦市長や山口県の平屋隆之副知事たちは訓練の終了通知を防衛省から受けた26日、同省と外務省を訪れ、岩国基地で二度と実施しないことを米側に求め、国もあらゆる手段を講じるよう要請した。中谷元・防衛相は「騒音について多くの苦情が寄せられており、重く受け止める」とした。

 陸上の滑走路を空母の甲板に見立てて訓練するFCLPは、従来の訓練場所の硫黄島(東京都)で噴火が起き、本土の予備施設の一つの岩国基地を使うことになった。中谷防衛相は26日の閣議後の記者会見で、硫黄島では航空基地に燃料を供給するパイプラインなどの施設に被害が出ていると明らかにした。復旧方法を検討しているとし、時期は示さなかった。

 市は今回、激しい騒音をもたらすとして、繰り返しFCLPの中止を求めたが、2000年以来の訓練が強行された。硫黄島の施設の復旧が滞れば、岩国基地をはじめとする国内の予備施設で再びFCLPが実施される可能性がある。(大平健幹、中川雅晴)

(2025年9月27日朝刊掲載)

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