×

ニュース

FCLP反対の要請 国と岩国 擦れ違い くすぶる実施の可能性

 「岩国で二度と実施しないように」。岩国市の米軍岩国基地で17~25日に続いた陸上空母離着陸訓練(FCLP)を巡り、山口県の平屋隆之副知事、岩国市の福田良彦市長たちは26日、反対の要請活動で訪れた防衛、外務両省で繰り返し求めた。防衛省側は、地元の声を重く受け止めると言いながらも今後の実施の可能性を否定せず、擦れ違いが際立った。(秋吉正哉)

 山口県と岩国、柳井両市、周防大島、和木両町でつくる同県基地関係県市町連絡協議会の首長や議会議長らが防衛省で中谷元・防衛相と面会。平屋副知事は、地元が反対した中で実施されたことに「大変憤りを持っている」と抗議し、米側に実施しないような働きかけを国に改めて求めた。

 訓練はこれまで硫黄島(東京都)で実施しており、国は移転を見据えて馬毛島(鹿児島県西之表市)の自衛隊基地を整備している。要請書を受け取った中谷氏は、騒音による周辺住民の苦情を「重く受け止めている」とした上で、「改めて米側に、恒久的な施設が完成するまでは硫黄島で実施するよう求める」と応じた。

 福田市長は「硫黄島の火山活動の状況によって岩国基地で再びFCLPが実施される懸念をしている」と伝達。防衛省の担当者は火山活動が続いているとし「使用できない状況になった場合は最適な実施場所を米側が判断する」と説明するにとどめた。

 自衛隊基地が完成後には岩国が予備施設にならないよう要請する声も上がった。ただ、同省の担当者は「米軍の運用に関する」と回答を避けた。

 福田市長たちは外務省で藤井比早之副大臣にも同様の要請をした。要請後、報道陣の取材に応じた福田市長は硫黄島の復旧に全力を挙げるとの国の説明を紹介し「通常の訓練が可能になるのを期待している」と語った。

今後の不実施を広島知事も要請

 米軍岩国基地でのFCLPを巡り、広島県の湯崎英彦知事は26日、今後は二度と同基地で実施しないよう求める要請書を外務、防衛両省と在日米大使館などに送った。

 要請書では、事前通告になかった祝日の23日にも訓練を実施したことに対し「県民の不安は増大し、強い憤りを感じる」と指摘。今後は二度と同基地で実施せず、硫黄島で訓練ができない場合の代替施設にも指定しないよう求めている。

(2025年9月27日朝刊掲載)

年別アーカイブ