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[被爆80年] 現代芸術と核 関わり議論 米大の平和資料センター 50周年記念行事が閉幕

 米オハイオ州のウィルミントン大での平和資料センター設立50周年の記念行事は1日、引き続き学術会議を開くなどして3日間の日程を終え閉幕した。現代芸術と核問題の関わり方などについての公開討論があった。(ウィルミントン発 山本祐司)

 被爆体験の継承をテーマに学内で開催中の展覧会に出品したアーティストたち5人が登壇。メリーランド州在住の伊東慧さん(34)は、原爆被爆者と米国の核実験場周辺の住民の目にフォーカスした写真をパネル化して並べた作品を展示した。

 広島で被爆し、日本被団協の代表委員だった祖父の故伊東壮さんの存在を踏まえ「芸術家として人の内面を表現したいと考えた時、核問題をテーマに選んだ」と語った。

 平和資料センターが所蔵する文書や本を撮影してコラージュにしたミギワ・オリモさん(68)は、日本で生まれ現在はオハイオ州に住む。「原爆被害を可視化し、日本人と米国人の双方の視点を反映させた」と解説した。

 記念行事に参加した広島市中区のNPO法人ワールド・フレンドシップ・センター(WFC)の平和使節団も現地での活動を終えた。被爆2世で広島市の被爆体験伝承者の庄田政江さん(75)=大阪市=は「多くの出会いに恵まれ、平和を願う者同士の心が通じ合う旅になった。この場で終わらせずにつながり、発展できる関係を築いていきたい」と振り返った。

(2025年10月3日朝刊掲載)

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