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被爆者と核廃絶訴える 「長崎宣言」発表 世界大会が閉幕 IPPNW

 長崎市で開かれていた第24回核戦争防止国際医師会議(IPPNW)世界大会は4日、3日間の日程を終え、閉幕した。核戦争の危機が高まっているとの認識を共有し、医師の責務として被爆者と共に核兵器廃絶を訴えるとした「長崎宣言」を発表した。

 長崎宣言は核戦争が起きれば、地球の回復は不可能になるとし「私たちは核兵器廃絶を責務とし、長崎の被爆者と共に声を上げていく」と決意を示した。核保有国に対しては軍備増強をやめ、核兵器禁止条約の加盟国と対話するよう求めた。

 閉会式でIPPNWのオルガ・トルシナ共同会長は「今大会で対話を重ねたように一人一人が地域社会で活動を続ければ人々は支持してくれると信じる」と述べた。

 閉会を前にした全体会議では、広島県医師会の松村誠会長が県医師会館(広島市東区)に被爆の惨状や被爆者の救護活動を伝える資料を展示する取り組みを紹介。核戦争が起きた場合に対処できる「処方箋」はないとし「唯一の道は核兵器廃絶だ」と訴えた。北東アジアの核使用のリスクや想定されるシナリオについての意見交換もあった。

 大会終了後の記者会見でIPPNW長崎県支部の朝長万左男支部長は「核なき世界の実現には若い世代の力が重要。国内外の医学生も多く参加し、活発な議論ができた」と振り返った。大会の実行委員会事務総長で広島大原爆放射線医科学研究所の田代聡教授は「看護師など他の医療関係団体との連携を強めたい」と話した。

 大会には日本を含む38カ国の医師や医学生たち約350人が参加。次回大会は2028年にドイツ・ベルリンで開く。(鈴木大介)

(2025年10月5日朝刊掲載)

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