[被爆80年] 小頭症被爆者 日常の記録 広島 13日まで写真展
25年10月4日
原爆小頭症の被爆者や家族の日常を記録した写真展「原爆が遺(のこ)した子ら 原爆小頭症・声なき被爆者の80年」が4日、広島市中区の旧日本銀行広島支店で始まる。広島を拠点にする当事者たちの団体「きのこ会」と、平和団体などでつくる実行委員会が企画。68点のうち、半数ほどが初公開という。13日まで。無料。
自らの名を懸命に書く20歳代の女性、障害者施設でニワトリの世話に励む男性…。小さな頭を隠せるようにとパーマをかけた女性が食事をする様子もある。1960~70年代に重田雅彦さん(81)=安佐北区=と菅沼清美さん(78)=横浜市=が撮った約8千点から主催者側が選び、3日、会場に展示した。
報道写真家を志していた2人。重田さんは、小頭症被爆者のルポが載った書籍「この世界の片隅で」を読んで衝撃を受け、きのこ会を訪問。撮影を申し出た。「原爆について本人たちは何も言わないが、身をもって核兵器の悲惨さを語っていた」と振り返る。
被爆80年と、きのこ会発足60年に合わせ開催する。平尾直政事務局長(62)=中区=は「おなかの子を傷つける核兵器は人類の未来を否定する兵器だと理解してほしい」と来場を呼びかけている。午前10時~午後5時(最終日は午後3時まで)。会期中の土日曜と祝日は、取材を続けてきた記者たちのギャラリートークや映像作品の上映もある。(下高充生)
原爆小頭症と「きのこ会」
妊娠初期に胎児が強い放射線を浴びた場合、頭囲が小さく、知的・身体障害を伴うことがある。1965年に当事者や家族が広島で「きのこ会」を結成。「日かげで育とうとも、キノコのように、落葉をおしのけてすくすくと、たくましく成長してくれますように」との親の願いから名付けた。国は67年、原爆医療法に基づく原爆症の認定対象に加えた。厚生労働省によると、小頭症被爆者は3月末時点で11人いる。
(2025年10月4日朝刊掲載)
自らの名を懸命に書く20歳代の女性、障害者施設でニワトリの世話に励む男性…。小さな頭を隠せるようにとパーマをかけた女性が食事をする様子もある。1960~70年代に重田雅彦さん(81)=安佐北区=と菅沼清美さん(78)=横浜市=が撮った約8千点から主催者側が選び、3日、会場に展示した。
報道写真家を志していた2人。重田さんは、小頭症被爆者のルポが載った書籍「この世界の片隅で」を読んで衝撃を受け、きのこ会を訪問。撮影を申し出た。「原爆について本人たちは何も言わないが、身をもって核兵器の悲惨さを語っていた」と振り返る。
被爆80年と、きのこ会発足60年に合わせ開催する。平尾直政事務局長(62)=中区=は「おなかの子を傷つける核兵器は人類の未来を否定する兵器だと理解してほしい」と来場を呼びかけている。午前10時~午後5時(最終日は午後3時まで)。会期中の土日曜と祝日は、取材を続けてきた記者たちのギャラリートークや映像作品の上映もある。(下高充生)
原爆小頭症と「きのこ会」
妊娠初期に胎児が強い放射線を浴びた場合、頭囲が小さく、知的・身体障害を伴うことがある。1965年に当事者や家族が広島で「きのこ会」を結成。「日かげで育とうとも、キノコのように、落葉をおしのけてすくすくと、たくましく成長してくれますように」との親の願いから名付けた。国は67年、原爆医療法に基づく原爆症の認定対象に加えた。厚生労働省によると、小頭症被爆者は3月末時点で11人いる。
(2025年10月4日朝刊掲載)