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核戦争への危機感共有 IPPNW世界大会 専門家ら報告

 長崎市で開かれている第24回核戦争防止国際医師会議(IPPNW)世界大会は2日目の3日、核抑止のリスクや核兵器禁止条約をテーマにした会議があった。核問題の専門家や医師たちが核戦争への危機感を共有し、核兵器廃絶の必要性を確認し合った。

 「核抑止が失敗するとどうなるか」と題した会議では、米ルイジアナ州立大のシェリル・ハリソン教授が地球全体に及ぼす核戦争の影響について報告した。核爆発で太陽光が遮られ、気温の低下や降水量の減少で農業生産が停滞し、世界的な飢餓に直面する可能性があると指摘した。

 IPPNWのアイラ・ヘルファンド全地域代表理事は「核使用は差し迫っている危険だ。想定される被害を世界の人々に分かりやすく伝えることが私たちの仕事だ」と訴えた。ソーシャルメディアなどの媒体を活用すべきだという意見も出た。

 核兵器の開発や保有、使用などを禁じる核兵器禁止条約に焦点を当てた会議では長崎大核兵器廃絶研究センターの中村桂子准教授が登壇。「核抑止に依存する限り、核兵器の使用のリスクを排除できない」とし「核のタブー」の対象として使用だけでなく保有にも目を向けるべきだと訴えた。

 放射線災害医療をテーマにしたパネルディスカッションもあり、広島大原爆放射線医科学研究所の田代聡教授が放射線被曝(ひばく)の治療や備えを解説した。(鈴木大介)

(2025年10月4日朝刊掲載)

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