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[被爆80年] 被服支廠など巡る 東京の被爆者団体「東友会」 「平和発信に活用を」

 被爆80年のツアーで広島市を訪れている東京都の被爆者団体「東友会」は6日、国重要文化財「旧陸軍被服支廠(ししょう)」(南区)などの被爆遺構を巡った。被爆者や若者たち44人が、原爆投下がもたらした惨禍に思いをはせた。

 被服支廠では耐震化工事が進む建物の外壁沿いを歩き、爆風で曲がった鉄扉などを見学。内部の構造を伝える出入り口の案内動画も見た。3歳の時、牛田町(現東区)で被爆した家島昌志代表理事(83)は「平和の尊さを訴える資料館として活用してほしい」と望んだ。

 ツアーは被爆25年、50年、70年に続き4回目。被爆者が減る中で「あの日」の記憶を次代に伝えようと都内の生協9団体でつくる実行委員会も共催し、若手職員を派遣した。東京保健生協の渡辺千夏さん(24)は「目に焼き付けた原爆被害を東京で伝えたい」と話した。

 この日は、日米両政府が共同運営する放射線影響研究所(南区)や市役所も訪問。面会した松井一実市長は「世界情勢が不安定な今こそ、核兵器を使わない市民の合意形成に尽力をお願いしたい」と述べた。7日は似島平和資料館(南区)などを訪れ、帰路に就く。(樋口浩二)

(2025年10月7日朝刊掲載)

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