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[被爆80年] あの日 南方留学生と紡いだ絆 映画「MEIKO」外国人上映会

「人間性 知ってうれしい」

 広島で被爆した南方特別留学生と、被爆者栗原明子(めいこ)さん(99)の姿を描いた映画「MEIKO」の上映会が13日、広島市中区の原爆資料館であった。現在、県内で学ぶ東南アジアの留学生たち約40人が映画を鑑賞し、被爆直後に紡がれた温かい交流に思いをはせた。(山本真帆)

 戦時下の日本が、東南アジア諸国に親日的な指導者を育てようと国費で招いた南方特別留学生。映画には、広島文理科大(現広島大)に在籍していた6人が登場する。19歳だった栗原さんは学徒動員中だった被爆直後、父を捜す中で6人と出会い、生活を共にする。40分の映像は、栗原さんの語りと長女が描いた絵で構成し、互いに支え合う姿を描いている。

 上映会は、被爆80年を機に、日本国際協力センター中国支所が主催。南方特別留学生の存在や栗原さんとの交流を、現在広島にいる多くの外国人に知ってもらおうと企画した。マレーシアから留学中の広島市立大大学院2年のモホド・シャフィク・ビン・ナシルさん(30)は「大変な状況でも互いを助け合い、人間性を保っていたと知ってうれしかった」と話した。

 監督でNHKアナウンサーの出山知樹さん(55)は「生きていく希望になった体験を多くの人に知ってほしい」。南方特別留学生の研究を続ける、広島市立大のヌルハイザル・アザム・アリフ准教授(52)は「戦禍が絶えない中、彼らのような個人史を伝えることが大切だ」と強調した。

(2025年10月14日朝刊掲載)

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