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被爆樹木苗木 福島へ 児童書著者の石田さん 樹木医の堀口さん 原発事故「伝承館」に贈る

 被爆樹木を描いた児童書「広島の木に会いにいく」の著者石田優子さん(47)=東京都=と、樹木医の堀口力さん(80)=広島市西区=が、福島県南相馬市で東京電力第1原発事故を伝えるアートギャラリーに、被爆したイチョウの種から育てた苗木を贈った。人の縁をつなぎ、東日本大震災から15年となる来年3月、現地に植樹される。

 東京・下北沢の多目的施設で4日、贈呈式があった。石田さんとの親交をきっかけに、原発から約16キロの「おれたちの伝承館」を運営する中筋純館長(59)が受け取った。事故がテーマの絵画や彫刻を展示しており、「人類が、核とどう向き合うべきかを考えるシンボリックの一つとして大切に育てたい」と話した。

 下北沢では、映画監督でもある石田さんや、ジャズバー「レディ・ジェーン」を4月まで営んだ広島市東区出身の大木雄高(ゆたか)さん(80)たちが、映画の上演など文化活動に携わる。贈呈式の前には、堀口さんが講演。ガラスの破片が刺さった跡の残る木や、爆風の衝撃で曲がった木の写真をスライドで見せながら、今も残る原爆の跡に触れた。

 石田さんは「被爆80年のことし、広島と長崎だけでなく、被爆樹木を通じて原爆について考える機会になればいい」と期待を寄せた。(貞末恭之)

(2025年10月13日朝刊掲載)

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