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本紙2件 協会賞授与 連載「里海の今」 企画「ヒロシマ ドキュメント」 東京で新聞大会

 日本新聞協会は15日、東京・帝国ホテルで第78回新聞大会を開き、中国新聞社の写真連載「里海の今」と被爆80年企画「ヒロシマ ドキュメント」を含む6社の7件に本年度の新聞協会賞を贈った。「事実に立脚した正確な報道と公正な論評を届ける」とする決議も採択した。

 加盟する新聞、通信、放送各社の代表たち約450人が出席。中村史郎会長(朝日新聞社会長)はあいさつで、ウクライナや中東、国内の政治の情勢に触れ「世の中が目まぐるしく動く中、報道機関が担う役割はますます重要になり、真価が問われている」と述べた。拍手で採択した決議には、真偽検証を含めた選挙報道の進化も掲げた。

 協会賞の授賞式では、受賞者がそれぞれ壇上で中村会長から表彰状とメダルを受け取り、スピーチした。

 「里海の今」は「瀬戸内海の生態を水中や空中からの撮影を交え多彩に捉えた。自然と人間が共生する重要性を丹念に伝えた」と評価された。報道センター映像担当の河合佑樹記者は、命を育む藻場や干潟の底力とともに環境の変化に触れ「海を豊かにするには人々の関心を高めることが第一歩で、話題と魅力を追い続ける」と強調した。

 被爆後の広島をたどった「ヒロシマ ドキュメント」は「膨大な資料を精査するとともに証言を掘り起こし、被害の実態を追体験させる迫真のドキュメンタリーに結実させた」と認められた。取材班を代表し、報道センター社会担当の岡田浩平次長は「惨禍の記録と記憶を愚直に伝え、ヒロシマの反核、非戦の訴えを国際社会に届ける」と語った。

 大会には首都圏15大学の学生約150人が招待された。受賞者と大学生がニュースの在り方を考えるトークセッションや、交流サイト(SNS)が盛んに使われる中での新聞の役割をテーマにした座談会もあった。

 中国新聞社以外の新聞協会賞と新聞技術賞は次の通り。

 【新聞協会賞】
 朝日新聞社 日本郵便による不当に高額な違約金や不適切点呼をめぐる一連の特報▽信濃毎日新聞社 長野県石油商業組合「ガソリン価格カルテル疑惑」を巡る一連のスクープ▽北海道新聞社 「JR貨物脱線事故 破断した腐食レール」のスクープ写真▽神戸新聞社 阪神・淡路大震災30年報道▽日本放送協会 NHKスペシャル「オンラインカジノ 〝人間操作〟の正体」

 【新聞技術賞】
 日本経済新聞社 Ask!NIKKEI「広く、深く、早く知る。」ニュースに新たな価値を

(2025年10月16日朝刊掲載)

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