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連載・特集

緑地帯 佐々木博光 アマチュア映像65年の歩み①

 映像は時代の鏡、時代の証言者でもある。アマチュア映像作家グループ「広島エイト倶楽部(くらぶ)」は1958年に産声を上げ、59年12月に第1回公開上映会を開いた。「エイト」は当時会員が使用していた8ミリフィルム撮影機に由来する。

 以来65年の歩みは、ヒロシマの復興の記録でもある。会員の作品は人々の営みや地域社会の変容を映し出す。また、映像機器や媒体の変遷からは産業の歴史も見えてくる。フィルムはアナログのテープを経てデジタルへ進化。現在はパソコンで編集し、インターネットを通じての発信もしている。

 倶楽部は広島市西区横川で内科医院を開業していた松原博臣さんが創設した。映像を作る本会員は27人でみな壮年だった。その他、会費だけ払う準会員的存在も多数いた。

 私は97年、メディア関係職を定年後、映像に興味を持ち入会した。当時会員は11人。高齢化が進み、衰退期が忍び寄っていた。現在は5代目会長・星賀靖典さんの下、平均年齢76歳の23人が活動している。

 歴代の作品には原爆をテーマにしたものが多い。今年は被爆80年にちなんだ上映会を広島市映像文化ライブラリーで開いた。カープ関連も多い。呉市でキャンプインした無声映像、優勝時の熱狂する市民…。この連載では65年の歩みを、会員の作品を紹介しつつ振り返ってみたい。(ささき・ひろみつ 広島エイト倶楽部理事=広島市)

(2025年10月21日朝刊掲載)

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