核廃絶 後退させないで 高市内閣発足 被爆地、保守色に警戒感
25年10月22日
自民党の高市早苗総裁が21日、新首相に選ばれ、日本維新の会との連立政権を発足させた。かねて非核三原則の見直しに言及し、物議を醸したこともある高市氏。被爆地・広島からは、核兵器廃絶の取り組みを後退させないよう求める声が相次いだ。保守色が強い政権の動きへの警戒感も広がった。(下高充生)
夜7時。昨年のノーベル平和賞を受賞した日本被団協の田中熙巳(てるみ)代表委員(93)たち6人が早速、オンライン記者会見に臨んだ。「首相はタカ派的な発言を繰り返している。政策を細かくチェックせねば」と田中代表委員。核兵器禁止条約へ参加するよう、働きかけを強める姿勢も示した。
連立政権合意書には、人権侵害の懸念も指摘されるインテリジェンス・スパイ防止関連法制定も盛り込まれている。「若い世代を守るため、平和主義を貫いてほしい」。NPO法人ANT―Hiroshima(広島市中区)の渡部朋子理事長(71)も会見で強調し、維新トップと共に被爆地を訪れるよう訴えた。
高市氏は防衛費増額に向けた構えも見せる。取材に応じた日本被団協代表委員で広島県被団協の箕牧(みまき)智之理事長(83)=広島県北広島町=は「国は戦争や原爆による孤児にまで苦しみを我慢せよという『受忍論』をかざし、国家補償を拒んできた。被害を償ってほしい」とし、増額に反対を唱えた。
もう一つの県被団協の佐久間邦彦理事長(81)=西区=は、維新のかつての選挙公約に米国の核兵器を共同運用する「核共有」の議論開始が掲げられていたと指摘。自民が衆参ともに単独過半数を握っていない状況を踏まえ「維新が要求すれば自民全体が核共有に引っ張られないか」と案じた。
(2025年10月22日朝刊掲載)
夜7時。昨年のノーベル平和賞を受賞した日本被団協の田中熙巳(てるみ)代表委員(93)たち6人が早速、オンライン記者会見に臨んだ。「首相はタカ派的な発言を繰り返している。政策を細かくチェックせねば」と田中代表委員。核兵器禁止条約へ参加するよう、働きかけを強める姿勢も示した。
連立政権合意書には、人権侵害の懸念も指摘されるインテリジェンス・スパイ防止関連法制定も盛り込まれている。「若い世代を守るため、平和主義を貫いてほしい」。NPO法人ANT―Hiroshima(広島市中区)の渡部朋子理事長(71)も会見で強調し、維新トップと共に被爆地を訪れるよう訴えた。
高市氏は防衛費増額に向けた構えも見せる。取材に応じた日本被団協代表委員で広島県被団協の箕牧(みまき)智之理事長(83)=広島県北広島町=は「国は戦争や原爆による孤児にまで苦しみを我慢せよという『受忍論』をかざし、国家補償を拒んできた。被害を償ってほしい」とし、増額に反対を唱えた。
もう一つの県被団協の佐久間邦彦理事長(81)=西区=は、維新のかつての選挙公約に米国の核兵器を共同運用する「核共有」の議論開始が掲げられていたと指摘。自民が衆参ともに単独過半数を握っていない状況を踏まえ「維新が要求すれば自民全体が核共有に引っ張られないか」と案じた。
(2025年10月22日朝刊掲載)